しょうせつ

キーンコーンカーンコーン

授業の始まりを告げるお決まりのチャイムが鳴り響く。
現在の時刻は8:35。
時間から考えて、朝のHRが始まったのだろう。

しかし、この私、木更戯はそれを全く聞いていなかった。
それもそのはず。
だって私は今、学校へと続く道でチャリを全速力で漕いでいる真っ最中なんだから。

『ぬおおぉぉ!!!遅刻しちまったぁぁぁぁ!!!!!』

到底女とは思えない声を出しながら、私は死ぬ気でチャリを漕ぐ。
途中で出会った仲良しのおばちゃんが朝ごはんにとリンゴを投げてくれたが、
それをキャッチする余裕なんかなかった私は泣く泣くリンゴをスルーした。
そしておばちゃんに謝ろうとしたとき、奇跡的にリンゴがカゴに入った。

『おばちゃんナァイスプレェェェ!!!!!!』

私はあまりの奇跡にそう叫び、おばちゃんのガッツポーズに見送られて
また学校へとチャリを暴走させた。

『とりあえず教室に入らなくっちゃ!』

私は学校の門に入り、グラウンドの横を通り抜けると、
チャリのまま3Zの教室が見える裏庭へと急いだ。
そして、これでもかというくらい全力でチャリを漕ぎ、
校舎へと垂直に突進していった。

『うぉっし……今だ!!!!!』

私はそう叫ぶと、ハンドルから手を離し、
即座に前カゴに入れてあった鞄を引っつかむ。
そして同時にサドルの上でしゃがみ込んで
サドルを踏み台に2階の教室の開け放たれた窓に華麗にジャンプした。
私の体は宙を舞い、そして無事に3Zの教室の窓へと着地した。

『ふぅ〜、間に合った。』
「いや、全然間に合ってないんだけど。
 っていうかちゃんアンタどっから入って来てんの!?」
『おはようぱっつぁん。どこって、窓だけど?』
「さも当たり前かのように言うなァァァ!!!!!」

私が窓から教室の床に降りると、生徒達の歓声をBGMに
クラスのツッコミ担当・志村新八が私の奇行に清々しくツッコんできてくれた。
私はそれをボケで受け止めつつ自分の席に座る。

『銀ちゃーん!アタシ頑張ったでしょ?セーフにして?』
「あぁ、いいぞ。アクロバティックだったし、盛り上がったし。」
『マジでか。』

私が挙手しながら担任である銀八先生に遅刻の取り消しをお願いすると、
銀八先生は平然とした顔でそう即答した。

「よーしお前等。今日から特別ルールな。
 遅刻しても面白い登校の仕方をしてきたらセーフ。
 ただし、俺が居るとき限定な。
 あぁ、あと副担のあぶさんが居るときも可能とする。」

こうして、今日たまたま遅刻しちゃった私のおかげで、
3Zにまた新しいマダオ(マるでダめなオンリールール)が出来上がったのである。




新・3年Z組特別ルール

(あれ、ちょっと待って、終わり?  まだキャラ紹介もアタシの紹介も何も終わってないのに、終わり?) (しゃーねーだろ。終わっちまったんだから) (転校しよう……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 最近、小説書く時間がないので書いてたものをアップしたら あろうことか連載小説でした。 …………ってなわけで、始まるよ!!← ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/08/17 管理人:かほ