『ねぇ、これって一体いつの時期のお話なの?』 怒涛の昼休みが終わり、現在5限目の現国の時間。 私はノートをとっていた手を止め、おもむろに銀ちゃんに質問した。 「あぁん?お前まだ設定ネタ引きずってんのか?いい加減にしろよコノヤロー。」 『いやいや違うってば。源氏物語の話。』 私の質問に対してもの凄く嫌そうな顔をした銀ちゃんに、 私はとっさにツッコミを入れた。 「でも、その件に関してもちゃんと決めておかなければいけませんよ、先生。」 そう言ってガタ、と静かに席を立ったのは、 3Zの影の学級委員長である伊東鴨太郎だった。 「なんだ伊東。その件って何のことだ?」 「とぼけないで下さい先生。この連載の時期設定の事ですよ。」 クイッと眼鏡を整えながら鴨太郎が銀ちゃんに言った。 鴨太郎の発言に、他の生徒もザワザワとその事について話し始めた。 連載の序盤だから春だろうとか、実は夏設定だとか、アウトローに冬設定だとか、 色々な憶測が教室内に溢れかえったとき、 急に銀ちゃんがゴホン、とわざとらしい咳払いをしたので、 そのざわめきは一瞬にして静まり返った。 「テメー等なぁ、いい加減にしろよコノヤロー。 そういう会話が物語を破綻させるんだよ。逆効果なんだよ。」 「でもセンセー!これは銀魂の二次創作だからアリだと思います!!」 「神楽はちょっと黙ってなさい。あとポップコーンはしまっとくように。」 銀ちゃんが神楽ちゃんの机の上にあったポップコーンを指差しつつそう言った。 そして、はぁ、と深いため息をついたかと思うと、 クルッと私たちとは反対の方を向き、急に黒板に『ファンタジー』と書き始めた。 「いいか?物語ってのは、ファンタジーが大切なんだよ!」 バンッ、と書き終わった黒板を叩きつつ、 銀ちゃんがまた私たちに向き直ってお説教じみた口調でそう告げた。 「夢がなけりゃ物語は物語じゃなくなっちまうんだよ。 こち亀然り、サザエさん然り、クレしん然り。」 「センセー、ソンナ大御所ト一緒ニシタラ怒ラレマスヨ?」 「うるせぇなエセ耳。読みにくいんだよ、喋るな。」 『でも銀ちゃん!春が2回来たらアタシ達卒業なんだよ!?』 「だからぁ、それが夢がねぇっていうんだよ。 要するに俺が言いたいのは、皆様に夢をお届けする夢小説で 時期設定なんざ気にしてんじゃねぇって事だ。」 銀ちゃん自身はカッコいい台詞を言ってキメたつもりだったのだろうが、 鴨太郎は全然納得出来なかったらしく、 尚もクイッと眼鏡を整えつつ不満そうな顔をしていた。 それを察してか、はたまた思いつきなのか、 建前上の学級委員である桂小太郎がガタンッと席を立って銀ちゃんに反論した。 「では先生!!僕たちは夏服と冬服、一体どちらを着ていればいいんですか!?」 ヅラの質問は珍しく的を得ていて、 クラスの皆は次の銀ちゃんの回答に耳を澄ませる。 そんな空気の中、普段となんら変わらない様子の銀ちゃんは ちょっとの間『んー……』と考えた後、ズバリとこう言い放った。 「とりあえず、今は夏服な。俺の気分が夏っぽいから。」 その答えには、流石のぱっつぁんでもツッコむことが出来ず、 教室は銀ちゃんの声と共に静寂に包まれた。そんなバナナ!
(ほら、この回だけで2人もキャラ紹介出来たぞ) (銀ちゃんこそ、物語が破綻するような発言しないでよ!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 最初に持ってくる辺り、鴨太郎への愛を感じる。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/08/17 管理人:かほ