しょうせつ

これはまだ、私がたまたま遅刻してしまった日の出来事。

っていうかもぅなんか色々あった日の放課後。
(いや、別にナレーションが面倒臭くなったんじゃなくて、モチベーションの問題なの)
今日最後の授業である数学(ウチのクラスは東城先生が担当)が終わり、
あとは終わりのHRを済ませて帰るだけとなった。

「今日の東城先生、また一段と気持ち悪かったわねぇ。」

数学の用意を鞄にしまいながらお妙ちゃんが言った。

「あぁ……日に日にエスカレートしてる気がするんだ……。」

お妙ちゃんの席の隣で同じく帰る用意をしながら、
柳生家の跡取り娘である九ちゃんがうんざりした顔でそう言った。

『確かに、東城先生の九ちゃんへのセクハラは酷いよね。
 坂本先生みたいに触るとかじゃなくて、なんかもぅ言葉攻めだもんね。』

ちょっと離れたところにある席で、私も会話に加わった。

ウチの数学教師である東城歩先生は、
教師をする前は九ちゃんの家の従者だったらしい。
でも、教員不足で困っていたこの学校に先生として来てくれと頼まれ、
泣く泣く柳生家を後にしたという。

九ちゃんの話では、柳生家の従者である時から
跡取り娘である九ちゃんに対して極度の過保護だったらしいんだけど、
学校の先生になって上下関係が逆転した今、
過保護がさらにエスカレートしてしまったらしい。

授業中に執拗に九ちゃんの席の周りを歩いたり、
質問は全部九ちゃんにあてたり、そのわりに答えをこっそり教えたり……。
まぁ、授業内容は分かりやすいし、元従者のせいか教え方も上手だし、
セクハラさえしなければ、とってもいい先生なんだけど……。

「しかも、最近ではにも手を出そうとしてるアル。」
『へ!?アタシ!?』

席が離れてしまっている神楽ちゃんが、
もう帰る用意を終えたのか私たちが話している席の方へと歩いてきた。
私は東城先生が私にも手を出しているだなんて事全然気が付かなかったから、
すごく驚いたリアクションをとったんだけど、
周りの皆は神楽ちゃんと同じ事を思っていたらしく、
そうよねぇ、そうなんだ、と口々に言ってはウンウン頷いていた。

『いやいやみんなぁ!それはないって。マジで!』
「ちゃんは本当に鈍感さんなんだからっ。これは事実よ?」
「あぁ。最近僕のところに来る回数が少なくなってきている。
 その代わり、の席によく行くようになった。」
「そうアル!、気をつけるネ!!
 あの変態に目ぇつけられてるのは事実アル!!!」

いつの間にかお妙ちゃんと九ちゃんと神楽ちゃんに取り囲まれ、
本気の表情の3人に迫られる形となっていた。
私は全く実感が湧かないというか、
あの東城先生が九ちゃん以外の人を見るかなぁ、なんて考えがあったから、
みんなの迫力に圧倒されて言葉が出なかった。

「おーい、HR始めんぞ〜。」

そこにタイミングよく入ってきたのは、3Zの副担任である阿伏兎先生だった。
3人は阿伏兎先生の姿を確認すると、残念そうに自分の席に戻っていった。
私はホッと胸を撫で下ろし、そのまま自分の席に座った。

「銀八の野郎がジャンプ読むのに忙しいなんてほざきやがったから、
 とりあえず脳天にチョップいれてきた。だから俺が代わりだ。」

いつもの無気力な表情でそう言い放った阿伏兎先生に、
誰一人として『そのあと銀ちゃんは?』なんて質問できなかった。




銀八先生死亡フラグ

(、いつまで続けるアルか?この地味な人物紹介) (しっ!神楽ちゃん、そんなこと言っちゃダメでしょ!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 次からはちゃんとした物語です。いやホント! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/08/16 管理人:かほ