しょうせつ

なんだかんだあった翌日、今日は朝からいい天気だった。

「あ゛ぁ〜……ダルい。」
「何にもやる気にならないアリュ……。」
『あんた等兄妹はホントに暑いの苦手だねぇ……。』

朝っぱらから心底ダルそうに机に突っ伏しているのは、
太陽の光(と言うか暑いの)が苦手なチャイナ兄妹、神威と神楽ちゃんだった。

「死ぬ。コレ絶対に死ぬ。暑すぎる。死ぬ前に一発ヤらせて。」
『そのまま死んでしまえ。』

私は上半身裸で机に突っ伏して手を伸ばしてきた神威という名の変態に
脳天チョップをお見舞いしてそう言い捨てた。

「……私もう駄目アル……せめて一回膝枕して……。」
『かっ、神楽ちゃん……!(キュンv)いいよいいよ膝枕くらい!!』
「あれれ、なんだろうこの格差社会。」

神威と同じように机に突っ伏している(しかし服は着ている)神楽ちゃんが
か弱い小動物みたいな声で可愛い事を言ってくるもんだから、
私はあからさまにハートを飛ばしまくって神楽ちゃんを抱きしめた。
神威が不服そうにこっちを見てるけど、あえてスルーで。

「あ……、気持ちいいアル……。」

私が神楽ちゃんを抱きしめると、
神楽ちゃんは気持ち良さそうな顔をして私に体を預けてきた。
きっと低血圧のせいで体温が低いから気持ちいいんだろう。
私はその天使のような笑顔にキュンときて、
『そうかいそうかい!そりゃ良かったッvv』と言いながら
にやにやした顔で神楽ちゃんを抱きしめた。
ヤバいこれ、鼻血出そう。

「、神楽ばっかりズルい。俺もやってよ。」

クイッと私の制服が引っ張られたかと思うと、
隣の席の神威が上目遣いで私を見上げていた。

『うっ……!』

神威は元々顔が整ってて、すんごいイケメンの部類に入るから、
そんな事をされては神楽ちゃん同様ズキュンときてしまう。
だけどそんな簡単な萌えで神威を許してしまうと、
後で大変なことになる事を私は2年生のときに思い知っている。

まぁその話は後々出てくると思うけど、
とにかく上目遣いで見られたくらいじゃあ私は落とせないぞ神威!
私は一瞬目を瞑って気持ちを落ち着かせ、
それから平然とした態度で神威に対応した。

『い、嫌だよ。だって神威、絶対変なことするもん。』
「しないよ、しない。本当にしないから。」
『嘘!絶対にする!』
「……まぁ、約束は出来ないけど……。」

ぶぅ、と頬を膨らませてまた机に突っ伏す神威を見て、
私の萌えパラメーターは一気に振り切れた。
神楽ちゃんをぎゅううと抱きしめながら、
私は平常心を取り戻すために一人身悶えていた。

何なんだろうコイツ!!何でこんなにも可愛いんだろうコイツ!!!!!
いつもは凶暴で最悪で最強でとんでもない思考回路の持ち主なのに、
こういうちょっとした瞬間に萌えの塊に変わってしまう神威は
本当に魔性の男だと思うんだ私ッ……!!!!!

「……大丈夫アルか?」

私が一人でプルプル身悶えていると、神楽ちゃんが苦しそうに、
しかし心配そうに私を見上げて声をかけてくれた。
もちろん、上目遣いで。

『ぎゃあぁぁ神楽ちゃあぁぁぁん!!!!!!!』
「んぎゅう!?、苦しいアリュ……!!!!」
『可愛い可愛いーvvあぁもぅ何でそんなにも可愛いの萌えなのぉぉ!?』
「……なんの話、アル、か……!!」

私の萌えパラメーターは完全に爆発し、
その勢いで可愛すぎる神楽ちゃんを締め殺さんばかりの力で抱きしめた。
すると神楽ちゃんは当然のように苦しそうに抵抗したけど、
萌パ(略語)が振り切れた私にとっては
その苦しむ神楽ちゃんも等しく萌えの対象であって、
力を緩めるという選択肢は全く頭に浮かんでこなかった。




神楽ちゃん死亡フラグ

(ちょ、死にすぎなんですけどこのクラス) (いいじゃんぱっつぁん。事故よ、事故) (事故で済むかァァァ!!!!!!!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ やっと日が進み、やっと物語らしい形になりました。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/08/24 管理人:かほ