しょうせつ

神威の腕の中で何故か女子に睨まれている私。(不可抗力)
そして睨み合う神威と小太郎。(いい加減にしろ)
その横には役立たずの銀ちゃん(主人公だなんて認めない!)と
暑さのせいで力が出ない神楽ちゃん。(アン○ンマンかアンタは)

あぁ、神様。どうかこの状況を収集出来る救世主を私に恵んでください……!!

「金時〜!やぁっと見つけたぜよ!」

私の願いが天に届いたのか、殺伐とした私達の中にゆるゆるの声が介入してくる。
私はもう疲れ果てて元気がなかったけど、
とびっきりの明るい声でその声の主の名前を呼ぶ。

『たっ、辰馬先生!』

私が名前を呼ぶと、辰馬先生はいつも通りのにこやかな笑顔を向けてくれた。
あぁ、その笑顔いつもなら気持ち悪いニヤニヤ顔にしか見えないけど、
今日だけはとっても眩しいです辰馬先生……!!

「辰馬オメー、俺は金時じゃねぇっつってんだろーが。
 原作回収騒動でも引き起こしてーのかコノヤロー。」
「あっはっは!そげん細かい事は気にするなぁ!
 それより、神威よりもワシの腕の中の方があったかいぜよ?」
『いや、あの、とりあえず助けて下さい……。』

東城先生と共に『数学2大セクハラ教師』と呼ばれている辰馬先生は、
私が神威に抱きしめられているのを見てあろう事か自分も名乗りを上げてきた。
前言撤回だ……この人の笑顔はやっぱりニヤニヤ顔だ!!

「モジャモジャ先生、俺のを盗らないでよ。
 それより、銀さんに用があったんじゃないの?」
「あぁ!そうじゃったそうじゃった!」

単細胞の辰馬先生は神威の華麗な誘導によって
私の置かれている状況なんか綺麗サッパリ忘れ去ってしまった。
ちょ、誰でも良いからいい加減に私を助けろ……。
そろそろ女子の視線に殺気が込められてきてるから。
神威の汗の量がハンパじゃないから。いやマジで。

「おまんに客人が来とるぜよ。
 なんでも、理事長が連れて来た新入生だとかなんとか。」
「はぁ?あのバーさん今度はどんな問題児連れてきたんだよ。
 しかも何でZ組なんだよ。ったく、メンドクセーなぁ……。」

銀ちゃんは辰馬先生の言葉に悪態をつくと、
非常に面倒くさそうに教室を出て行ってしまった。
ちょっと待てやお前。一体何のために来たんだこの役立たず。

「じゃあワシは陸奥先生のケツでも拝みに行くとするかのぉ!」
『セクハラする前に生徒を助けろォォ!!!!!(怒)』
「そうだった!神威!!貴様いい加減にを放せ!!」
「ヤだよ。冷たくて気持ち良いんだもん。」
「暑いアリュー……。」

まるで一仕事終えたという感じで
保健の先生である陸奥先生にセクハラを働こうと踵を返した辰馬先生に、
私は残りの元気を振り絞ってツッコミを入れた。
すると黙って先生の会話を聞いていた小太郎が
ハッと今まで自分が何をしていたかを思い出し、神威にまた怒鳴りつけた。
それを相変わらずの様子で軽く受け流す神威。

あぁ駄目だ……女子からのプレッシャーと汗のベタベタで
なんかもうどうでも良くなってきた……。(涙)

「おい神威、いい加減にを放せ。」
「あれ、あぶさんいつの間に居たの?」

全てを放棄した私を助けるために、今度こそ正真正銘の救世主が現れた。
私はバッと顔をあげ、半泣きになりながらその人の名前を呼ぶ。

『あっ、阿伏兎せんせぇ……!!』
「ほら見ろ。泣いてんじゃねーか。
 今すぐを解放しねーと、化学の点数下げっからな。」
「ゲッ、止めてよ。それなくても俺化学苦手なのに。」

阿伏兎先生の言葉に、ようやく、ようやく私を解放した神威。
私は嬉しさのあまり阿伏兎先生に思いっきり飛びついた。

『ああぁぁありがとうございます阿伏兎せんせぇぇ!!!!(号泣)
 もうさっきから銀ちゃんとかモジャ夫とかヅラとか役立たずばっかりでぇぇ!!!!』
「あー、そりゃ災難だったなぁ……。」

辰馬先生と銀ちゃんの無能さを熟知している阿伏兎先生は、
苦笑しながらよしよしと私の頭を撫でてくれた。
この世に怖いものなしとまで言われている学校の番長神威も、
何故か唯一この化学の先生である阿伏兎先生には敵わない。
これは今や学校の七不思議となっているのだが、詳細は一切謎だ。
私が聞く限りでは、実は阿伏兎先生が元ヤンだからだとかいう噂もある。

「あっはっは!酷い言われようじゃのぉ!あっはっは!!」
「!俺は決して役立たずなどではないぞ!」

私が阿伏兎先生に慰められているのを面白くなさそうに見る神威の隣では、
モジャ夫が何が面白いのか能天気に笑っていた。
そしてヅラも一生懸命自分の無能を弁解しているが、
私はそれに聞く耳を持たず、思いっきりあっかんべーをしてやった。




頼りになるのは化学の先生

(あぶさん、を抱きしめるの止めたから代わりにアイス買って) (お前は冷蔵庫でも食ってろ) (ヤだよあれ不味いもん) (Σ食ったのか!?) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 新年早々3Zとか素敵!← ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/01/06 管理人:かほ