「あっはは!そりゃ大変だったなぁ!」 『もぉー!笑い事じゃないっつーの!』 色々あった(本当に色々あった)日の夕方、 部活も終わって私は隣の家に住んでいる清と一緒に帰っていた。 さっきまでぱっつぁんとタカチンと退も一緒だったんだけど、 ぱっつぁんとタカチンは交差点を左に曲がっちゃったし、 退は帰りに寄るところがあるからって別れてしまったのだ。 「あはは、悪い悪い。鴨太郎には感謝しねぇとな。」 『勿論しましたとも!でも照れちゃって受け取ってくれなかった。』 「そりゃ照れるだろ、(好きな奴に)いきなり抱きつかれたら。」 『んー、そっかー。そうだよねー。』 清の言葉がちょっと不自然な気もしたけど、 私はあまり気にせずに『うむむ、』と考え込んだ。 実は万斉に絡まれてるところを助けてもらった後、 鴨太郎ったら中々顔合わしてくれなかったんだよね。 そりゃいきなり女の子に抱きつかれたら照れちゃうかぁ……。 今度からお礼の仕方には気をつけよう。 『あ、そう言えばさ、巳厘野君の話だけど……。』 「あぁ、部活ん時に言ってたやつか?」 『そうそう。鴨太郎のせいだって言ってたじゃん。』 「いや、正確には鴨太郎は悪くないんだけど……。」 清はちょっと困ったような顔をしながら頭をかいた。 「鴨太郎と道満は1年の時からずっと成績で争ってたんだよ。 で、いつも鴨太郎が一番で、道満が二番。」 『あぁ、なんかそんな話を聞いた気が……。』 「そんで2年の1学期の中間テストの時に鴨太郎が一週間学校休んで、 張り合う相手が居なくなったからって 道満もそのまま学校来なくなったってだけの話。」 『なんじゃそりゃ。え?じゃあそっからずっと登校拒否?』 「まぁな。友達も少なかったし、噂では山に修行に行ったとか何とか……。」 『へ、へぇ……アタシが転校してくる前に色々あったんだね……。』 清の話にちょっとついて行けなくなった私は無理やり話をまとめた。 成績争いしてた相手がテストの時に休んだんだから、 ラッキーなんじゃないのかなぁと私は思うけど……やっぱり違うのかな。 正々堂々戦いたいって言うか、不戦勝とか認めないって言うか、 きっとそんなお堅い性格なんだろうなぁ、巳厘野君は。 でもそのまま登校拒否になっちゃうなんて、どんだけ執念深いんだ巳厘野君。 鴨太郎が一週間で帰ってくること知らなかったのかな? まぁ鴨太郎の性格上、周りの人間に報告しなさそうではあるけど……。 いやでも鷹久さんは言うだろ、俺明日から手術なんだー☆みたいな感じで。 ううん、巳厘野君と鷹久さん、あんまり接点なかったのかな? じゃあ多分、勝負に勝ち逃げされた感じだったんだろうな、鴨太郎に。 昨日読んだ漫画にそんな設定で主人公を恨むライバルキャラが出てきたから、 私は勝手にそのライバルキャラと巳厘野君を被せて納得した。 「でも何でまた登校しようなんて思ったんだろーなぁ。」 『それもそうだね……何でだろ? 朝のHRで外道丸ちゃんと仲悪そうだったから、 隣のクラスに転校してきた結野アナと何か関係あるのかな?』 「あぁ……登校早々ボコられてたな、そう言えば……。」 清は朝の惨劇を思い出して苦笑いでそう言った。 色々謎は深まるばかりだけど、とりあえず私の中ではこう自己完結。 巳厘野君は、鴨太郎のことが好き! …………ありり?ちょっと違うかな?しつこい根暗(←結論)
(ねぇねぇ清、アタシたち今探偵みたいじゃない?) (いや、そんな嬉しそうな顔して言われても……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ いや、名前変換忘れてたとか言われても……。← ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/03/08 管理人:かほ