しょうせつ

何とか晋助がキャベツをロールしてくれて、
つっきーがそのロールしたキャベツを煮てくれている時、
暇になった私達はのんびりと椅子に座りながら完成を待っていた。

小太郎だけはクソ真面目だから
「月詠だけに仕事を押し付けるわけにはいかん!」とか何とか言って
つっきーと一緒にキャベツロールさんを見守ってるけど、
私も晋助もあさっての方向を見ながらぼんやりしていた。

『あ、晋助見て見て。つっきーと小太郎がタバスコ攻撃に対抗してるよ。』
「アイツ等負けたら後でブッ殺す。」
『そう言えば、巳厘野君って痔持ちなんだよね?
 タバスコなんて入れられたらたまったもんじゃないね。』
「あぁ。だからミツバ先生の調理実習は嫌なんだ……。」

痔とタバスコ(辛いもの)は犬猿の仲だもんねー、なんて言いながら
私は超笑顔でタバスコを持っているミツバ先生と、
ミツバ先生に必死で応戦している小太郎とつっきーを見守っていた。
あっ、つっきーが違う班に意識を向けさせた。
おっ、小太郎が違う班にミツバ先生を誘導して行った。
さすが3Zの策士たち、仕事が的確で早いなぁ。

「なんとか阻止したみてーだな。」
「た、助かった……。」
『よかったねー、巳厘野君。これで我が班は安泰だぁ。』

タバスコ投入阻止に安心して私がなんとなしに教室を見回すと、
案の定お妙ちゃんの班からは黒い煙が出ていた。(やっぱり……)
神楽ちゃんたちの班からは何故か材料に全く入っていない
納豆の匂いがしてきたし(さっちゃんが居るからなぁ……)、
花子ちゃんの居る班からはたこ焼きのジューシーな匂いが漂ってきた。(何で?)

無事に出来てるのは鴨太郎、清、阿音ちゃん、万斉の班と、
風紀委員組とたまちゃんが居る班と、ウチの班だけみたい。
お妙班の所に神威の姿が見えないから、多分サボったなアイツ。
まぁあんな何をしてもダークマターが出来る班、
近藤さんと九ちゃん以外サボりたくなるのも分かるけどね。

「ぎゃあぁぁ!?神楽ちゃん酢昆布入れちゃ駄目ぇぇ!!」
「酢昆布は何にでも合うように出来てるネ!」
「出来てねぇよ!!!酢昆布はそんなに万能じゃねェェェ!!!!!」
「オ前モ納豆入レテンジャネーヨ!!」
「うるさいわねぇ!!納豆は何にでも合うように出来てるのよ!!」
「出来テネェヨ!!!オ前等イイ加減ニシロヨ!!!!」

つっきーと小太郎が出来上がったロールキャベツをお皿に盛っている時、
神楽ちゃんの班から悲痛な叫び声が聞こえてきた。
コレには私も巳厘野君も、そして晋助までもが苦笑する。

『良かったアタシあの班じゃなくて……。』
「一番後ろの席で助かった……。」
「ありゃあの班死んだな。」

そうこう言っている間にもつっきーと小太郎の作業は続き、
気がつくと私達の前には無事完成したロールキャベツが並べられていた。

『わぁ美味しそう!ありがとうつっきー!』
「わっちだけの手柄ではないでありんす。」
「では早速食べるとしよう。」

そう言った小太郎がいきなりパァン!と手を合わせ、
無駄に張り切って『それでは皆さん、いただきます!』と言った。
まぁこんなの皆慣れっこなので(巳厘野君は若干ビビってたけど)、
それぞれ適当にいただきますを言ってから食べ始めることに。

「おい、約束忘れてねぇだろーな。」

私がロールキャベツを一口食べたところで、
隣に座っていた晋助からそんな言葉が投げかけられた。
ゲー、コイツ覚えてやがった。
なんか晋助さっきのつっきーの言葉忘れてるっぽかったから
このまま無かった事にしてやろうと思ってたのに……。

『あーはいはい、覚えてますよ!
 晋助って頭悪いくせにそーゆーのはきっちり覚えてるよね。
 さそり座の女かお前は!』
「いや、高杉の誕生日は8月だぞ。」
『アンタはそーゆーとこ面倒くさいよね小太郎……。』
「ってかそもそも女じゃねぇよ。」

コイツ等とまともな会話を出来る気がしないので、
私は諦めのため息をついてから
仕方がなく晋助のロールキャベツを一口サイズに切り分け、
『一回だけだからね』と念を押しながら晋助に約束のあーんをした。

「(もっしゃもっしゃ)……一回だけはルール違反じゃねーのか?」
『晋助回数は指定してなかったもん。』
「ちっ、しゃーねぇな。」
「ズルいぞ!!俺にもぜひあーんを!」
『うるさい小太郎。もぅ、つっきーのせいだからね!』
「わっちはをケチャップまみれから救ってやったんじゃ。
 むしろ感謝されるべきだと思うが?」
『うぐぐ……そ、それもそうか……。』

私がつっきーの言葉に押し負けたとき、
お妙ちゃんの班からガタタンッという大きな音がして、
同じ班の九ちゃんと長谷川さんが白目をむいて床に倒れていた。
外道丸ちゃんは1人ピンピンしているのでダークマターを免れたらしい。

「やられたな……。」
「可哀想に……。」
「何なんだこのクラスは……。」

その光景に晋助とつっきーと巳厘野君が顔を引きつらせた。




3Zの食中毒事件(原因判明済み)

(はぁ……やっと終わった……) (お疲れ様ちゃん。ちゃんの班は食中毒なかったのねぇ) (そりゃそうアル) (自覚がないのは恐ろしいでありんすな……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 神楽ちゃんの班が書いてて一番楽しかった。 きっとボケとツッコミのバランスがいいからだな。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/03/13 管理人:かほ