しょうせつ

『バイトって言っても一日だけだよ?
 花子ちゃんがどうしても一緒に行ってほしいって言うから、
 仕方がなく一緒に行ってあげるの。』

目の前の4人に私はため息混じりにそう説明した。
私は別に自分からメイド喫茶で働きたいとか思ったわけじゃなくて、
花子ちゃんのバイト探しに巻き込まれただけだったりする。
しかしそんな私の説明には微塵も興味がなかったようで、
トシも銀ちゃんも神威も、平然と話を元に戻しやがった。

「氏!メイド喫茶なんて美味しい話、なんで黙ってたでござるか!」
『何で変態のアンタ達にわざわざアタシから言わなきゃいけないの?』
「教師には知る権利がある。」
『生徒には教師を選ぶ権利があると良かったんだけどね。』
「俺との仲じゃないか。」
『じゃあ半径4メートル以内に入ってこないでくれる?』

大真面目な顔して言う変態共に、私はとりあえず笑顔で対応してあげた。
しかも神威に至ってはとんでもない妄想だ。
そう言ってやろうと思ったけど、今までの経験上そんな事を言うと
『え、そうだっけ?じゃあ今から既成事実を作ろうか。』なんて
とびっきりのブラックスマイルで襲われそうになる事を知っているので、
なるべく穏便に話を終わらせた。

「でも何で面接で実際に働くアルか?」

私が持ってきたオレンジジュースを飲みながら神楽ちゃんが尋ねてきた。
その問いに私が『あのね、』と口を開こうとした瞬間、
神楽ちゃんの隣に座っていた銀ちゃんが私の言葉を遮った。

「バッカ神楽、んなもん早くメイドさんになりてぇからに決まってんだろ。」
『いや違うし。』
「俺がメイド服着てって頼んだ時は断固拒否したくせに。」
『当たり前だ変態神威。』
「拙者が頼んだ時も断られたでござる。巫女もナースも……。」
『だから当たり前だろクソオタク!!』

銀ちゃんの変態発言に変態予備軍(むしろ幹部)が乗っかっていく。
こういう時にお妙ちゃんが居ないと辛いなぁ。
ボケ3人に対してツッコミ1人ではさすがの私でもさばききれない。
そのためツッコミが対応しきれず、ボケ組で話が盛り上がってしまった。

「駄目だよ土方、最初はスク水から始めないと。」
「おぉ、それは盲点でござった。メモメモ……。」
「お前等まだまだガキだなぁ。まずはブルマから始めるべきだろ。」
「おぉ!それはいいでござるな!メモメモ……。」
「えぇー?だってウチの学校、校長の趣味でいまだにブルマじゃないか。」
「そこがガキだっつーんだよ。神威お前、家で見るブルマ姿は格別だぞぉ?」
「俺は全然そそらない。ブルマだったらスク水がいい。」
「拙者はどちらかと言うとサスペンダー派でござる。」
「サスペンダーいいね。縛る時に使えるし。」
「サスペンダーか……それも捨てがたいなぁ。」
『っつーかお前等
 アタシん家から出てけよ腹立つなァァ!!!!!』

だんだんエスカレートしていく変態話に私はとうとうブチ切れた。
バンッとテーブルを叩き、3人をギロッと睨んでやるが、
なんせ相手があの3人だ。全く効きやしない。
それどころか神威が『に睨まれたらゾクゾクする』とか言い始めたので、
私は色々なことを瞬時に諦め、溜息と共に座り込んだ。

「も大変アルな……。」
『……ありがとう神楽ちゃん。』

神楽ちゃんの哀れそうな声が私の涙腺に突き刺さった。




変態の取扱い説明書希望

(ってかさっさと本題に入れよなー、ったく) (本当でござる。もう2話分も使ってしまったでござる) (全く話が進まないね) (お前等のせいでな!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 実はこの話、3Z連載を作るきっかけとなった長編だったり。 でも連載用に改稿したので大分話は変わってます。 当初メイド喫茶には夏休みのバイトで行くはずだったんですが、 話がまとまらなかったので変更しました。← ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/03/13 管理人:かほ