しょうせつ

銀魂高校3年Z組出席番号、あれなんだっけ?木更戯。
ただいまメイド喫茶でピンチ真っ只中です。

「〜、俺ヤキュウケンしたいなー。」
「氏!恥ずかしがらずにこっちに来てニャンニャンするでござる!!」
「ガキは放っておいて俺と萌え萌えしよーぜ。」

笑顔の支配人に金縛りにあってる私の気も知らないで、
いつの間にかカウンターに陣取っている3人は思い思いに喋っている。

行きたくない。絶対にあの3人の前には立ちたくない。
だけどそろそろ支配人の笑顔が崩れそうだし、
このままメイド達のイケメンの取り合いを野放しにすると
店長という名のギザ萌えリーダー(最上級)に何か言われそうなので、
私は意を決して3人の前へと歩いて行った。

『お帰りなさいませ、ご主人様♪』
「あれ、プライド捨てたの?」
『ご注文は何になさいますか?なんなりとお申し付け下さいニャン☆』
「凄ぇやコイツ。マニュアル通りに俺たちをさばく気だ。」
『かしこまりました!銀のご主人様はコーヒー、
 ピンクのご主人様はレモンティー、黒のご主人様はカフェオレですね!』
「凄いでござる。これがプロ魂……。」
『少々お待ち下さいませ☆すぐにお持ち致しますニャン♪』

私はここまでを笑顔で言い切って、
何事もなかったかのように厨房へと向かった。
勿論、マニュアル通りの決め萌えポーズも忘れずにサービスした。
お母さん、マジで死にたい。

「……凄ぇや。」
「ホント、予想以上だね。」
「萌え破壊力が半端ないでござる……マジで氏を彼女にしたいでござる。」
「ダメだよ土方。は俺のだから。」
「いやいや、先生のだってば。」

聞こえてるんだよ変態スリーが……!!!!!
私はちょっと離れた場所でドリンクを作りながら3人の会話に拳を振るわせた。
ほら、テメー等がそんな事言うから私めっちゃ睨まれてんじゃないの!!
フリーのメイドさん達の嫉妬と恨みが篭った視線が
私に集中砲火してんじゃないのォォォ!!!!!

内心ものごっさ泣きたい私の気持ちなんて露知らず、
変態スリーの変態トーク(ほぼ妄想)はどんどんエスカレートしていく。

「だからぁ、俺が最初にの貞操奪ってやるってば。」
「何を言うでござるか神威氏!!まずはファーストチッスからでござるよ!!」
「ガキが色気づいてんじゃねーよ。は大人の銀さんに任せなさい。」

それなくてもイケメン揃いで目立ってるっていうのに、
無駄にイイ声してるし無駄に声デカいし内容が内容だしで、
変態スリーと私は今や見世物状態になっていた。

『アタシ耐えられない……。』
「頑張りなさいちゃん!あなたのおかげでウチの店が注目を浴びてるわ!
 いつの間にか人がわんさかご来店よ!おーほほほほ!」
『いっそ殺せ……。』

私と変態スリーがいい宣伝になっていたらしく、
店は支配人の言うとおりほとんど満席になっていた。
ギザ萌えリーダーの指示で急遽テラスが設置され、
さっきまで居たフリーのメイド達も全員接客にまわっていた。

おかげで刺さるような嫉妬の視線はなくなったけど、
同時にコイツ等を追い出すことが出来なくなってしまったようだ。
いい加減に迷惑だから無理やり帰らせようと思ってたけど、
ここまで客寄せパンダになっちゃ、それも難しい。

私は深い深い溜息を吐き出しながら、
プレートにコーヒーとレモンティーとカフェオレを乗せ、
疲れきった顔を包み隠さず変態スリーの元へ戻って行った。




今すぐ家に帰りたい

(お母さん、ね、初めて人を殺したいほど憎んだよ) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 今更だけどトッシーの喋り方が分かんない。← とりあえず『ござる』で誤魔化してるけどなんか万斉みたいだ。 どっちもウチでは変態だしな!← ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/04/10 管理人:かほ