しょうせつ

『お待たせして申し訳ありません、ご主人様。
 特製のお飲み物をお持ちしましたニャン。』
「凄ぇよコイツ。まだマニュアル通りに俺たちを接客する気だよ。」
「でもさっきと違ってテンション超低いよ?顔が死んでるよ?」
「ぬおぉぉ!氏ギザ萌えぇぇぇ!!!!!!」

私の異変に気づいた銀さんと神威は
そのままコーヒーとレモンティーをそれぞれ受け取ったけど、
戦場がオタクの聖地メイド喫茶ということもあってか
根っからのオタク・トッシーだけは異常にテンションが上がっていた。

「しゃしゃっ、写真を撮らなければ!!
 氏のギザ萌えメイド姿をカメラに収めなければぁぁぁ!!!!!!」
「そうだった、俺も神楽に頼まれてたんだっけ。」

ドリンクを受け取ろうともせずに持っていたカメラをガタガタいわせながら
私のメイド姿を何枚も何枚も撮り始めるトッシー。
それに便乗して神威もいきなりカメラを取り出し写真を撮り始めた。

『何コイツ等。ちょっと銀ちゃん、何とか言ってやってよ。』
「おいお前等、笑顔じゃないけどいいのか?」
『いやそうじゃなくて。』

2人の突然の行動に動じもせずコップにストローを差し込んでいる銀ちゃんに、
私は真顔でツッコミをいれた。

「じゃあとりあえず次はM字開脚してくれる?」
『ご主人様?あんまりおいたが過ぎると、
 怒ってご主人様を東京湾に沈めちゃうゾ☆』
「おいお前等そこらへんにしとけ。が本気でキレかけてるから。」

やっと2人を落ち着かせてくれた銀ちゃんに若干感謝しつつ、
私はトッシーに無理やりカフェオレを手渡した。

『お前等それ飲んだらさっさと帰れよ、超特急で帰れよ。』
「あれ、メイドさんごっこはもうリタイア?」
「氏!!さっきまでの萌え萌えオーラはどうしたでござるか!?
 拙者思いっきり鼻血を出してしまったというのに……!!!!」
『そのまま大量出血で死ねばよかったのに。』

大真面目な顔で叫ぶトッシーに、
私はとりあえず目潰しを食らわせておいた。
すると今度は一番左端に座っていた銀ちゃんが叫びだす。

「うわ!何だこのコーヒーめちゃくちゃ甘ぇ!!
 ってばいつの間に銀さんの好み把握したの、ねぇこれマニア!?」
『え?カップの半分砂糖なんだけど大丈夫?』
「、銀さん殺す気だったの?」
「え?何?何だこの忘れかけていた感覚。
 胸の奥が熱くなってきやがった……これが恋!?」
「、銀さん糖尿病が悪化したみたいだよ。」
『やっべぇ、銀ちゃんゴメン。』

嫌がらせのつもりで大量の砂糖を入れてやったのに、
相手が銀ちゃんだったのが悪かったのか、完全に喜ばせてしまった。
胸の辺りを押さえて真顔でアホな事を叫んでいる銀ちゃんを、
私と神威は冷たい目で見ていた。

『あ、そうだ。みんな何か食べる?
 ってかこうなったら一番高いもの注文してよ。』
「がまたマニュアル接客してくれたら銀さん考えちゃうぞ?」
『銀ちゃん♪ドンペリが飲みたいニャン☆』
「よぉぉぉし!!!!ピンドン持って来ぉぉぉい!!!!!!」
「2人とも、ここキャバクラじゃないんだから。」

私と銀ちゃんの連携プレイにとうとう神威がツッコミにまわる。
その隣では手に持っていたカメラをガタガタと震わせながら、
トッシーがめちゃくちゃ気持ち悪い顔で私を見てきた。

「萌え萌え接客する氏ハァハァ(*´Д`)」
『神威、今のトッシー写真に撮っときなよ。
 後でトシに見せて泣かせてやろーぜ。絶対に自殺するねコレ。』
「凄いや、この気持ち悪い土方を笑顔で見守れるなんて。」
「って言うか今酷いこと言ったよねこの子。」

私の言葉に、神威も面白いと思ったのか
手に持っていたカメラでトッシーの超気持ち悪いハァハァ顔を連写した。
でもトッシーはまだハァハァ言ってるし、
銀ちゃんに至ってはコーヒーにさらに砂糖を投入し始めた。




坂田銀八、死亡フラグ

(うっわ、銀さんそれはない。流石にない) (銀ちゃんいい加減にしないと糖尿で死んじゃうよ?) (糖分と死ねるなら悔いはない!あっでも死ぬ前にとチューしたい) (悔いありまくりではないか) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ もう二度とトッシー書きたくない……コイツ口調定まってない……泣きたい。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/04/10 管理人:かほ