「で?何でシスコンお兄たまと巳厘野が一緒に居たんだ? お前等噂によると因縁があるらしーな。この際バシっと吐いちまえよ。」 テーブルを挟んで向かいに座っている結野と巳厘野を前に、 銀八がまるでカツアゲする不良の如きテンションでそう言った。 教師としてこれは如何なものかと疑問に思ったが、 神威ももこの2人の話を聞きたそうにしていたので俺はあえて何も言わなかった。 現在の俺たちのバトルフィールドはファミレスだ。 妹喫茶の前で劇的な出会いを果たした俺たちは少々取り乱しはしたものの、 神威の拳骨(は除外)で正気に戻り、血が吹き出す頭を押さえながら とりあえず近くにあったこのファミレスで話をしようということになった。 奥から順番に銀八、、神威と座り、 向かいには同じく奥から結野、巳厘野、俺と続く。 そして謎だらけの転校生・結野と いきなり登校してきた不登校児・巳厘野に詳しい話を聞こうと思っていたのだが、 いざ訊くとなるとこの2人には謎が多すぎて質問が一つにまとまらず、 結局全員が順番に聞きたい事を訊いていく形式になったのだった。 「わしと道満の話をするのは構わんが、 その前にそのシスコンお兄たまと呼ぶのを止めてくれんか先生。」 「いいじゃん別に。シスコンであることは揺ぎ無い事実だし? それに俺が結野アナと結婚すれば、年下だろうが何だろうが お前をお兄たまと呼ばなきゃいけなくなるだろ?」 「何じゃその自分勝手な解釈は! お主のような変態教師にクリステルは嫁にはやらんぞ!!」 『まぁまぁ結野君落ち着いて。銀ちゃんもその呼び方は止めようよ。』 バッと立ち上がって銀八に文句を言う結野にがそう言って宥めれば、 結野はちょっと顔を赤くして大人しく席に座った。 ココで俺はキュピーンとひらめいた。 間違いねぇ……コイツに惚れてやがる。 俺と同じく結野の不自然な行動を感じ取ったのか、 神威がものっそい顔で結野を睨んでた。(そしてそれにビビったのは巳厘野だった) 「で?お前等一体どういう関係なんだ?」 「ただの幼馴染じゃ。わしとクリステルと道満は家が近所でのう。」 話が脱線しまくったので俺が仕方なしに話を本筋に戻すと、 意外にも結野はあっさりと質問に答えた。 「中学までは3人一緒の学校だったんじゃが、 クリステルが女子高に行くと言い出してのう。 仕方なしにわしと道満は同じ進学校を受験したんじゃが、道満が華麗にスベってな……。」 「ちょっと解答欄を間違えただけだ!頭脳ではお前に負けていない!」 「まぁそんな感じで高校は3人別々になったんじゃが、 クリステルの仕事の関係でこっちの学校に転校することになってのう。」 『へぇー……案外フツーの理由だったね。』 「期待して損した。」 結野の言葉にと神威がそんな言葉を口にした。 神威に至っては既に興味が失せたのか、店員を呼んでハンバーグ定食を注文している。 それに銀八が便乗してチョコパフェを頼み、一口頂戴ねとが銀八に言った。 おいおい、お前等あからさまに興味なくしすぎだろ。 もうちょっとツッコんで訊いてやれよせっかくファミレスに引き止めたんだからよぉ! そんな俺の良心的な考えとは裏腹に、銀八と神威はにちょっかいを出し始める。 駄目だコイツ等。巳厘野と結野の話聞く気0だ。 「ったく……じゃあ、あの外道丸っていう女は何者なんだ?」 仕方なく俺がまた質問をすると、結野はちょっと考えて返答した。 「あやつは結野家の使用人じゃ。クリステル専属のメイドなんじゃが、 道満が中学2年の時にクリステルに告白してから どうも道満のことを嫌っておってのう……。」 結野はそこまで言うと、はぁ、と溜息をついた。 そして結野の言葉にと銀八の意識がこっちに返ってくる。 『へぇー!巳厘野君って結野アナのこと好きだったんだー!』 「オイオイオイ!まさかお前等付き合ってんじゃねーだろーな!?」 「いや、クリステルはちゃんと断ったと言っておったぞ。」 『えぇー?振られちゃったんだ〜。残念だったねー。』 「晴明……その話はもう止めろ……昔の話だ……。」 巳厘野がなんとも言えない顔で結野にそう言った。 なんかさっきから巳厘野を集中攻撃しているような気がするのは俺だけか? 『あっ、そう言えばさぁ、 巳厘野君って鴨太郎が学校休んだから学校に来なくなっちゃったんでしょ? なのに何で急に学校来ようなんて思ったの?やっぱり結野君絡み?』 が思い出したかのようにそう言うと、巳厘野の表情が強張った。 「道満貴様……まだ悪いクセが治っておらんようじゃな……。」 「う、うるさい。」 『え……何?もしかしてアタシ悪いこと言った?』 巳厘野と結野の異様な雰囲気に、が不安そうに眉を下げてそう言った。 そこでタイミング悪くパフェとハンバーグ定食がやってきたが、 銀八と神威は空気を読んで一切手をつけなかった。 「いや、大したことではない。安心せい。」 『ホ、ホント?』 「あぁ。道満は昔からライバルを見つけては競いたがる癖があってのう……。」 不安そうなを安心させようと結野が笑顔でそう言った。 それには安心したように溜息をついたが、 どうやらまた下らない理由らしい2人の因縁の部分に、 銀八と神威は同時にパフェとハンバーグ定食を食べ始めた。 全く、何でコイツ等こんなに分かりやすいんだ……。人の話は最後まで聞きましょう!
(あ、銀ちゃん、一口ちょーだい) (ん?ほらよ、あーん) (あーん) (テメー等は付き合いたてのカップルかッ!!!!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 3Z陰陽師篇、次回で完結(?)です! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/09/18 管理人:かほ