一時間目、銀ちゃんの国語。 今日は源氏物語のクライマックスを習った。 でも授業の半分が銀ちゃんの 「いいかお前等、光源氏は遊び人だってことさえ覚えとけば 源氏物語なんて怖くねぇからな!テスト満点だからな!」 という受験に全く役に立たない言葉で構成されていたので内容はあんまり覚えてない。 二時間目、銀ちゃんの社会。なんかもうダメダメだった。 銀ちゃんって本当に教員免許を持ってるんだろうか。 三時間目は岡田先生の生物。とにかく今日はグロかった。 岡田先生ってやたらと解剖したがるから それを毎回クラス全員が一丸となって必死で止めるんだけど、 今日は解剖って単語を出さなかった代わりに検死というワードを連発していた。 先生、お願いだから教科書に載ってる内容を教えて下さい……。 四時間目は癒しの家庭科タイム。 今日は調理実習じゃなくてお勉強の方だったから非常に癒された。 ミツバ先生の声素敵すぎる。マジ癒される。あの笑顔超可愛い、何アレ天使? そんなわけで癒されすぎて爆睡してしまった。授業内容は一切覚えてません。 そして待ちに待ったお昼休み。 ミツバ先生の授業終了5分前に目が覚めたアタシは とりあえずつっきーにノート見せてもらう約束をしてお弁当をスタンバった。 授業聞いてないくせにこの態度。我ながら最悪な生徒だと思う。 キーンコーンカーンコーン 授業終了の合図。 よっしゃご飯だ!お妙ちゃん、神楽ちゃん、九ちゃん、ご飯食べよーぜ! そう叫ぼうとして立ち上がったアタシは、 突如横から突進してきた何者かによって華麗に巳厘野君の方に倒れこんだ。 「どわぁっ!?き、貴様、晴明!?」 「ちゃぁ〜ん!休みの間会えなくて寂しかったぞー!」 『鷹久さん!ちょ、何するんですか離して下さい!』 あまりにも突然の出来事に構えることすら出来なかったアタシは 周りの迷惑も考えずに突進してきた鷹久さんのせいで 巳厘野君の膝にもたれかかる形で倒れこんでしまい、 鷹久さんを結野君と勘違いしている巳厘野君と 酔っ払いのようなテンションの鷹久さんに挟み込まれてしまった。 「兄さん!!またにちょっかいかけに来たのかい!?」 「鷹久!貴様いい加減に殿のことは諦めるでござる!!」 鷹久さんの乱入にいつものように鴨太郎が怒った様子で近づいてきて、 その後ろを万斉がギター片手にやって来る。 ……あれ?ちょっと待って?万斉手に武器持って何するつもりィィ!? 『ちょ、万斉それ危ない!!』 「今は殿の身の方が危ないでござる。」 『えぇぇ!?何その切り替えし!!とにかくそれで鷹久さん殴っちゃダメだよ!?』 「河上君、構わないから一発殴ってやってくれ。」 「承知した。」 『嘘ォォォ!?』 相当怒っているのか、鴨太郎が万斉にまさかのGoサインを出し、 それを真に受けた(いや、鴨太郎も目がマジだったんだけど)万斉は 鷹久さんの頭上に持っていたギターを振り上げた。 冷や汗をかいてどうしようかと思案しているアタシの後ろでは、 巳厘野君が「俺にも当たるだろーがァァ!!!!」と必死の抗議を申し立てている。 「ちょ、万斉それシャレになんねーから!ほれ、こっちで我慢しとけ!」 真後ろの席でとんでもない修羅場が繰り広げられているのを見かねた清が 慌ててそう言いながら万斉に丸めたノートを手渡した。 万斉はしばらく清の顔を見て何かを考えていたけど、 観念したのかギターを清に手渡して丸めたノートを受け取り、 それで鷹久さんの後頭部を思いっきり殴った。(バコンッって音がした) 「いってぇ!河上くん酷いじゃん!」 「お主がにちょっかいを出すからでござる!清に感謝するでござるよ。」 「サンキューな清くん。ついでにちゃん俺にちょーだい。」 「鷹久、お前ちょっとは反省しろ。」 こうして清のおかげで大事は免れたものの、鷹久さんは結局 鴨太郎の手によって頬っぺたに紅葉マークをつけられていた。(痛そう……) 「木更戯、あれは誰だ?」 『え?』 苦笑いで鴨太郎と鷹久さんの兄弟喧嘩を眺めていると、 巳厘野君から予想外の質問をされてしまった。 アタシはてっきり2人とも面識はあるもんだと思ってたから、 思わず間抜けな声を出して巳厘野君をじっと見つめてしまった。 『巳厘野君、鷹久さんのこと知らない?』 「鷹久?」 『伊東鷹久さん。鴨太郎の双子のお兄ちゃんだよ。』 「あぁ、あれが……。」 巳厘野君はそう言うと鷹久さんをジッと見つめた。 そう言えば、さっき結野君と間違えてたけど、まさか本当に面識ない? 「話には聞いていたが、何しろ一年の頃の奴は病弱でな。 クラスも違えば奴が学校に来る日数も少なかったから、直接会ったことはない。」 『へぇ〜……そうだったんだ。』 アタシは手術後の元気な鷹久さんしか知らないからちょっと意外な話だったけど、 言われてみれば、あの体だけは(そう、体だけは)病弱な鷹久さんが ああやって元気にしている事の方が不思議なんだよなぁ……。 「それにしても……似ているな。」 『あぁ……結野君に?似てるねー。顔とか髪型とか超似てるよね。 鴨太郎は眼鏡かけてるから見分けつくけど、鷹久さんはねー。』 アタシと巳厘野君はそんな会話をしながら、 またアホな事を言ったのか、鴨太郎に頬っぺたをつねられている鷹久さんを眺めていた。 『あ、そーいやぁさ、巳厘野君って昔は結野君がライバルだったんだよね?』 アタシはふと思い出して巳厘野君に質問してみた。 すると巳厘野君はアタシの質問内容が以外だったらしく、 一瞬キョトンとした表情になって、それから「あぁ……」と返事をしてくれた。 『そんでこの学校に来たら、今度は鴨太郎をライバルとして認めたんだよね?』 「まぁ……そうだが……木更戯、お前は一体何を言いたいんだ。」 『じゃあやっぱり、巳厘野君って結野君のこと大好きなんだ!』 アタシのその言葉に、その場に居た全員が一瞬にして凍りついた。 ちなみに言われた本人である巳厘野君も凄い顔して凍りついたけど、 アタシは何でそんなリアクションをされたのか、全く理解できなかった。ド天然の恐ろしさ
(ん……!?何だ……急に寒気が……) (あら、どうしたのお兄ちゃん、風邪?) (そうかもしれんのぅ……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ この件が書きたかったんだ。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/10/16 管理人:かほ