今、確かには言った。 道満が、結野君のことを大好きだって。 結野君ってのは隣のクラスに転校してきた噂の結野君のことだろう。 俺はまだ一回も会ったことねーから面識ねぇけど、 は昨日、銀さん達とメイド喫茶に行った帰りに会ったって言ってた。 いやいや、今はそんなこと言ってる場合じゃねぇんだ。 とりあえず現時点でハッキリと言える事は、 今のの発言で3Zの連中全員が固まってしまったという事実だけだ。 『あれ?アタシ何かおかしいこと言った?』 「自覚なしか……。」 『え?ちょ、清まで何で固まるの?』 俺が呆れ顔でにツッコミを入れると、 はさらに分からないといった様子で俺の目を見た。 我が従姉妹ながら、どうしてこうもド天然なんだろうか……。 「あのなぁ。仲のいい男同士でもフツー相手が好きだとか言わねぇから。」 『えぇ?何で?』 「何でって……とにかく、男子は女みてーに好きとか言い合わねぇの!」 『でも、巳厘野君は結野君が好きで、 だからこっちに来て結野君の面影がある鴨太郎に乗り換えたんでしょ?』 「大真面目に変な言い方をするな! 俺はそんな考えで伊東をライバルとして認めたわけではない!」 俺がちゃんと説明してるのにそれでも納得できないは 至って真面目な顔で自分の発言に説明を加えた。 そして当然の如くの意見を受容できない道満は必死で反論する。 はあながち間違いではないんだけど、表現方法がなぁ……。 俺が苦笑いで隣に居た鴨太郎を見ると、 鴨太郎はのあまりのド天然振りに反論する気も失せたのか、 頭を抱えて深い溜息をついていただけだった。 そんな鴨太郎の隣にはケタケタと笑っている鷹久の姿。 毎度思うけど、コイツ等兄弟は本当に性格だけは似てねぇよなぁ……。 「、男にはプライドっつーもんがあんだよ。」 『プライド?』 どうにかしての考えを変えようと、俺はの方に歩み寄りながら言葉を続けた。 「そー、プライド。男はライバルと仲良しだって思われたくねぇんだよ。」 『そうなの?そういうもん?』 「あぁ、そういうもんだ。銀さんも言ってたろ?男は見栄とプライドで立ってるって。」 『あぁ……なんか言ってたねそんなこと……。』 俺の言葉にやっと納得したは、 道満の方に向き直って『じゃあ巳厘野君は結野君と鴨太郎が嫌いなんだね!』と これまた意味の分からない結論を笑顔で言い渡していた。 すると道満は一瞬顔を赤くし、そして小さい声で「まぁ、そんなトコだ」と呟いた。 の天然発言にこれ以上ツッコまなかったのは感謝するが、 今の発言のどこに顔を赤くする要素があったんだ? 俺が道満の意味不明な行動に首を傾げていると、 勝手にスッキリしたは自分を待っていた志村姉達の方に駆けていった。 それを合図に、まだ教室に残っていた万斉や鴨太郎達も自分の弁当を取りにバラけていく。 俺もさっさと飯食いに行くかーと弁当袋に手をかけた瞬間、 後ろのドアから聞きなれない声が室内に入ってきた。 「オイ鷹久!何をしとるんじゃ! お主の帰りが遅いからクリステルが昼の校内放送に出向いてしまったではないか!」 そんなことを言ってる声の方を向いて、俺は絶句した。 間違いない、あれが噂の結野君だ。 だってアレお前っ、似てる似てないの問題じゃなくね!? 「伊東殿!?まさか伊東殿が影分身を使えたとは……!」 「河上君、その手に持っているギターで君の頭を殴ってやろうか。」 「おー晴明、悪い悪い。すっかり忘れてた。」 「忘れてたってわしの存在をか!?お主殴られたいのか!?」 ヘラヘラと笑いながら結野に手を振る鷹久に、 相当怒った様子の結野がヅカヅカと教室に入ってきた。 その隣では鴨太郎が万斉相手にギターを振り上げているが、 まぁそれは近くに居たが止めていたのでよしとしよう。秘儀・影分身の術
(ぎゃー!?鴨太郎ストップゥゥ!!!危ないからそれ!マジ危ないから!) (止めないでくれないか……!!) (殿が拙者を庇って……!もしかしてこれが恋!?) (やっぱいい、殴れ!) (よし!) (そんな!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 目標は3Zの生徒全員を喋らせることです。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/10/16 管理人:かほ