今日は晴天、学校はお休み。絶好のお花見日和。 そんな中、アタシ達はお花見をします!(何の捻りもないけどお花見なのです!) 『お花見楽しみー!』 アタシがそう叫びながら大きく伸びをすれば、 後ろを歩いていたぱっつぁんが心配そうにアタシを見つめてきた。 「ちょっとちゃん、伸びしすぎて後ろに倒れてこないでよ? 手には重たいお弁当持ってるんだから、重心取られるよ?」 『だいっじょーぶ!アタシはコケないように出来てるから!』 「いや何が!?ちゃんもう酔っ払ってるの!?」 「ズルいネ。飲むなら私にも一口頂戴ヨ。」 「いやそういう問題じゃないからね!?僕ら未成年だから!!」 お休みの日の朝っぱらからぱっつぁんのツッコミが絶好調だったので、 アタシとお妙ちゃんは思わず顔を見合わせてケラケラと笑った。 「もうすぐ到着だけど、ちょっと早く着いちゃったわねぇ。」 『大丈夫だよ。鴨太郎とかトシとかは30分前には現地に居るタイプだから。 もう既に現地でシート敷いて待っててくれてるよ。これアタシの予言ね。』 「あぁ、2人とも真面目だもんね。」 「神経質な男は嫌われるネ。」 そんな会話をしながらアタシ達は公園の入り口を抜け、 恋愛のパワースポットとして有名な桜の木が立っているという場所を目指した。 『まさかこんな所に桜の木があったなんてなぁー。』 ここは銀魂高校のある町から電車で30分のところにある公園で、 大きな遊具があることで有名だとは知っていたけれど、 まさか初夏になってから咲く桜があるとは全然知らなかった。 電車の中でぱっつぁんやお妙ちゃん、神楽ちゃんにも訊いてみたけど、 3人とも初耳だって言ってたから、きっと「穴場」というやつなんだろう。 「あっ、ちゃん見てみなよアレ、きっとアレがそうだよ。」 隣を歩いていたぱっつぁんが楽しそうにそう言ったので、 アタシはぱっつぁんが指差す方向を視線で辿った。 するとそこには大きな桜の木が2本、仲良く横に並んで鎮座している。 綺麗な満開の桃色に、アタシと神楽ちゃんは同時に飛び跳ねた。 『わぁすごい!アレが噂の恋愛さくらさん!?』 「隣に居るのは恋愛たろう君ネ! きっと仲良く2本並んでるから恋愛スポットアルよ!」 『そうだよきっと!わぁー!さくらさんとたろう君素敵!』 「いや、さくらさんとたろう君って誰。」 アタシと神楽ちゃんがテンションMAXでじたばたしていたら、 ぱっつぁんが「弁当がぐちゃぐちゃになるだろ!」とアタシ達を叱った。 その言葉にアタシは慌てて自分が持っていた弁当を水平に保った。 そうだったそうだった、アタシお弁当持ってたんだった。あぶねー。 今日のお花見は皆でそれぞれ担当のものを持ち寄るというものだった。 基本的にはお弁当係と飲み物係とお菓子係の3つに分けられるんだけど、 アタシと神楽ちゃんとぱっつぁんはお弁当担当。 お妙ちゃんは満場一致で飲み物係となった。(可哀想な卵予防策) 風紀委員はお弁当組と飲み物組とお菓子組にそれぞれ分かれ、 銀ちゃんは自分から飲み物組に立候補してたんだけど、 十中八九お酒を持ってくると予想される。(これも満場一致の予想) そんなこんなで、アタシとぱっつぁんと神楽ちゃんはお弁当を、 お妙ちゃんだけは途中のスーパーで購入した飲み物を持って現地に到着した。 するとそこにはアタシの予言どおり鴨太郎とトシが居て、 なにやら言い争いをしているようだった。 「僕の方が君より早かった!一番に到着したのは僕だ!」 「いいや俺の方が1秒くらい早かったね!一番乗りは俺だ!」 「いいや!僕の方が君より3秒は早かったね!」 「じゃあ俺は7秒早かった!」 「なら僕は10秒だ!」 「20秒!!」 「一分!!」 「あっ、ズリー!!」 「何してんのあの人たち……。」 『くっだらな……。』 アタシ達は鴨太郎とトシの本当に下らない言い争いを目の前に、 3人同時に大きな溜息を吐いた。(お妙ちゃんはニコニコ笑ったままだった) 「あっ、お妙さぁぁん!!!!!」 呆れかえるアタシ達の背後から、急にそんな声が聞こえてきた。 そしてダダダ、という足音とビョンッという何かが飛んだ音が……。 「お妙さ「木の下に埋まりてぇのかこの変態ゴリラァァ!!!!!」 お妙ちゃんのそんな怒鳴り声と共に、今度はメリッ、ゴシャッという音がした。 恐る恐る音のした方を見ると、そこには倒れこむ近藤さんの姿が。 どうやら近藤さんがお妙ちゃんに飛びつこうとして殴られるという いつもの光景がここでも繰り広げられていたようだった。 この音で喧嘩をしていた鴨太郎とトシがアタシ達に気づき、 風紀委員のメンバーも続々と集まり出したので2人の喧嘩はお開きとなった。 みんなは敷いてあったシートに各々が持って来たお弁当やお菓子を並べ、 すぐにでも宴会が出来るように準備を整えていた。 「おー、お前等揃ってんなぁー。」 『あっ、銀ちゃん!』 最後にやってきたのはやっぱり銀ちゃんだった。 バイクで来たのか片手にはヘルメット、 もう片方の手にはお酒の入った袋を持っていた。 「ちょっと銀八先生、本当にお酒を持って来たんですか?」 「いーじゃねぇか。今日は俺は教師じゃねぇ、一人の男だ。 今日はみんなでパーっと宴会といこうや。」 「勘弁して下さいよ……。」 うわっはっは、と笑う銀ちゃんを目の前に、 鴨太郎は首を横に振りながら頭を抱えていた。お花見開始!
(銀ちゃん!アタシはもものチューハイ飲みたい!) (には俺のカルピス飲ましてやるって) (銀八先生もう酔ってんですか今すぐ帰って下さい) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ お花見篇に突入するとか言ってたのが昨年の8月。 季節は巡り、やっと季節ネタ的にピッタリの時期がやってきました。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2012/03/24 管理人:かほ