「人の話聞いてやがんのかコラ!!!!放せって言ってんだろっ、ぁいたたた!!」 が思いっきり力を込めて抱きついてきたので、 さっき手当てを受けた肩から反対側の脇腹へかけての刀傷が痛む。【結局許してしまう俺:後編】
「ってか自分で手当てしたくせに、傷を開くようなことすんなボケ!!」 『だって阿伏兎さん可愛いもん。』 「もんじゃねーよ。離れろマジで。」 『……ぐすっ、阿伏兎さんはアタシが嫌いですか?』 「くっ……ッ!」 は俺を上目遣いで見上げ、(多分嘘泣きだろうが)目に涙を浮かべてそう言った。 この顔をされると流石の俺でもキツくは言い返せない。 団長は相変わらずニコニコ笑っているが、明らかにドSの笑顔だった。 『アタシはっ、あの日、阿伏兎さんに拾われたあの日からっ、 ずっとずっと、こんなに阿伏兎さんが好きなのに……ふえぇぇ。』 「なっ、泣くな!!悪かった、俺が悪かったから、な?」 『ひっく、うぅ、それにしても……。』 「あぁ?」 泣き真似をしていたが急に顔を上げたと思ったら、じっと俺の体を見つめていた。 これは、さっきの嫌な予感が的中しそうだぞ……。 というか明らかにフラグ立っただろコレ。だから脱ぎたくなかったんだ。 『阿伏兎さん、イイ体してますよね。ヤッベ。鼻血でそう。 アタシさっきまでコレに抱きついてたのか……!!』 「おい、止めろ、落ち着けよ?」 『せっかく脱いだんですし、丁度いい!!今からアタシを襲って下さい! いや、むしろ襲っていいですか?いいですよね!!』 「バカ止めろ!!誰がいいっつった!?押し倒すなッ!!!!!!」 こういう時だけ馬鹿力を発揮して俺を押し倒そうとしてくるに、 こっちも本気で抵抗するが、ちょっと力負けしそうになる。 しかもかなり傷が痛い。絶対にもうちょっと力入れたら傷開くよコレ。 本気で危なかったので団長に助けを求めたら、 『俺がちゃんを襲ってもいいって言うなら助けてあげてもいいけど?』 と真顔(笑顔はどこかに消えていた)で言い放たれたのでやっぱり丁重にお断りしておいた。 ったく、何で俺の周りには普通の奴が居ないんだ!! 『あ、そうそう、忘れるところだった!!』 もうすぐで俺の傷口の限界がくる、という所でが何を思い出したのか、 俺を押し倒そうとしていた手をパッとはなしてポン、と手を打った。 「た、助かった……。」 『あー、酷いですよ阿伏兎さん。人を強姦魔みたいにー。』 「いや……現にそうだろ……。」 まだ俺の上からは退いていないが、とりあえず襲う気はなくしたようだったので、 俺は一気に脱力し、はぁぁ、と安堵のため息をついた。 『阿伏兎さん阿伏兎さん。』 「んだよ……。」 『任務、お疲れ様でした!』 にっこりと、とびっきりの笑顔を俺に向けてそういう。 元々顔は上玉だし、声は可愛いしでとんでもなく輝いて見えるその顔に、 俺は不覚にも顔を真っ赤にして口ごもってしまう。 「あ、あぁ……。」 『明日は任務ないんで、一緒にどっか行きましょうよ! あ、団長も来ます?アタシの予定では地球に行くつもりなんですけど!』 「地球?あぁ、いいね。地球のご飯はおいしいから好きだよ。」 『わーい!じゃあ決定!!』 俺の上に跨ってわーい、と万歳をして喜ぶに苦笑する。 こんな事ばっかやってるくせに、2人でデートっつー発想はないのかコイツは。 まぁ、団長が居てくれた方が助かるけど。 「俺は行くなんて言ってねーぞ。久々の休みくらいゆっくりさせろ。」 『えぇー?じゃあ、阿伏兎さんの部屋で夫婦ごっこでもやります?』 「やるかボケ!!それならまだ地球に行った方がマシだ!!」 『じゃあ決定ですね♪さぁ、そうと決まれば、明日のために早めに寝ましょー!』 やっと俺の上から退いたは、救急セットを片付けて風呂場に向かった。 ふと見ると、団長はすでに寝る気満々だった。 風呂はが報告に行ってすぐに済ませてある(部屋の風呂だとが 何をしてくるか分かったもんじゃない)ので、俺も早々に寝る準備に取り掛かる。 最後に戸締りを確認するためにドアに向かい、鍵をきちんとかけて部屋に戻ってくると、 風呂から上がったが明らかに俺のベットの上で寝る準備をしていた。 「いや、そこ俺のトコだから。」 『知ってますけど?』 「じゃあ何で居るんだよ!!」 『いいじゃないですか、一緒に寝ましょうよ。おやすみなさい。』 「待たんかコラァァ!!!!!」結局許してしまう俺
(実は阿伏兎ってツンデレ?) (いきなり何を言い出すんだよ団長!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ うん、結構長かったなぁ。初の阿伏兎小説が前後編って。 ちょ、どうしよう愛を感じる。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2008/10/19 管理人:かほ