しょうせつ

出逢ったのはお前たちでも 出会ったのは俺たちなんだ みんなで仲良くする気なんてない ただ、みんなで前を向いていこうよ

 

【I'm in need of You.】

「団長ォ!!さっき元老の部屋を覗いたら、全員気絶させられてたんだが……!!!」 俺が空を見ていると、慌しく云業が駆け寄って来た。 「うん。俺がやった。」 「団長が!?じゃあ、阿伏兎はもう……。」 「……うん。行っちゃったよ。」 俺が星を眺めながらそう言うと、云業はホッと胸を撫で下ろした。 「良かった……。阿伏兎は船に乗り込めたんだな。」 云業の安堵の一言に、俺は何も言わなかった。 俺の心を映すかのように、目の前で隕石が猛スピードで落ちていった。 あの隕石はどこへ行くのかな。 生きることを諦めて宇宙の底に堕ちて行っているのかな。 それとも、家族を探してる? 愛するパートナーを追いかけているのかもしれない。 俺がそんな馬鹿げたことを考えていると、 云業が急に緊張した声で俺に問いかけてきた。 「団長は良かったのか?」 俺は初めて云業の方を向いて、何が?と簡単に尋ねた。 「ちゃんのこと、阿伏兎に渡しても。」 あぁ、そのこと。 俺は何も言わずに目線を星空に戻した。 さっきの隕石はすでに居なくなっていた。 「昔ね、俺、に言われたんだ。」 云業は答えになっていない俺の言葉に一瞬戸惑ったが、 すぐに対応し、何て言われたんだ?と控えめに続きを促した。 「俺が自分に正直に生きているのが、羨ましいんだってさ。」 あたりの星を見回しながら、俺は普通の声色でそう言った。 「でも、おかしいよね。俺はこんなにも我慢しているのに。」 云業が口を開いた気配を感じ取ったが、言葉が出てくることはなかった。 「俺が正直に生きてたら、きっと今頃泣いてるよ、。」 俺は云業の様子を気にすることなく話し続ける。 「まぁいいけどね。この貸しはいつかキッチリ返してもらうから。」 そこまで言って、俺は云業の方を向いた。 云業は今まで見せたことがない表情で俺を見ていた。 そして静かに目を閉じ、息を吸いながらまた俺を見た。 「阿伏兎、船の操縦はからっきしなんだ。」 俺はまた顔を上げ、瞬く夜空をしばらく眺めた。 「仕方がないなぁ。帰ってきたらうんとコキ使ってやろうね。」

仲間意識はないけれど

(死なれちゃ困るって思ったら、それは何なのかな?) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 今回の話は第七師団の人がみんないい人だ……。(笑) ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/05/16 管理人:かほ