今日は久々に阿伏兎さんと云業と私の3人で任務だった。 団長は他の人を引き連れて戦争に加担しに行っちゃったから。 しかも任務先は地球! 任務の内容はお使い!(もちろん麻薬関係だけど) 『くぁー!!こんなに平和でいいんでしょうか世の中ー!!』 私が満面の笑みで伸びをしながらそう言うと、 隣を歩いていた阿伏兎さんと云業が顔を見合わせて噴き出した。 『なな、何よぅ!』 「クククッ……いや、お前もまだまだガキだなぁと思ってなぁ。」 『なぁー!?』 「ちゃん、あっちに甘味処があるからそこで待っとくか?」 『云業まで!からかわないでよぉ!』 私が2人に対して怒ると、2人はまたしても笑い出した。 何よ!そりゃまだまだ子供だけど、任務はちゃんとこなせるってーの! 怒った私がズンズンと2人をおいて指定場所に向かい始めると、 まだ笑ってはいたものの、2人が謝りながら追いついてきた。 そんなこんなで私たちは取り引き相手が待つ路地裏(定番よね)に着いた。 そこで待っていた売人が見た目がまんま悪人っぽくて、 思わず噴き出してしまった私は阿伏兎さんに殴られた。(痛い……) そして目的の麻薬と金を交換して売人と別れたあと、 私たちは何事もなかったかのようにまた町の中へと戻った。 『はぁー!楽な任務だったぁー!』 「あとはコレを本部に持って帰るだけだな。」 第七師団にしてはあまりにも簡単すぎる平和(?)な任務だったので、 私は嬉しさのあまり思いっきり伸びをした。 そして、私は阿伏兎さんがさしている番傘に入り込み、 地球に来る前から考えていたあるお願いをしてみることにした。 『ねぇねぇ、阿伏兎さん。ちょっとだけ地球を観光していってもいい?』 「アホか。薬持ったままウロウロすんのかお前は。」 『ねぇお願い!今度いつ来れるか分からないし……ねっ?』 「ダーメーだ。」 私は予想していた阿伏兎さんの却下をなんとか覆そうと努力したが、 阿伏兎さんはなかなかOKしてくれない。 もう無理かも……と諦めかけていたその時、思わぬ助け舟がやってきた。 「まぁそう言うなよ阿伏兎。 俺が持って帰るから、ちょっとはちゃんに付き合ってやれよ。」 「はぁ?云業、お前何言って……。」 『やったぁー♪ありがと云業!』 予想外の云業の言葉に私が力いっぱいお礼を言うと、 云業はにっこりと笑いかけてくれた。 そしてそのまま阿伏兎さんの制止する声を無視して船へと戻っていってしまった。 残された阿伏兎さんは頭を抱えてため息をついていたが、 私は地球観光が出来るうえに阿伏兎さんと2人でデート出来るという この奇跡的な状況を心の底から喜んだ。 ありがとう云業!今度とびっきり美味しいご飯作ってあげるからね! 「で?お前はドコに行きたいんだ?」 私が云業の去っていった方を見ながらガッツポーズをしていると、 後ろから観念したような阿伏兎さんの声が聞こえた。 『えぇっと、別にどこに行きたいとかはないんですけど……。 地球を見て回りたいです!お散歩みたいな?』 「何だよそのアバウトな観光プラン……。」 阿伏兎さんはまた溜息をついて呆れていたけれど、 ちゃんと私と一緒に地球を歩き回ってくれた。 公園の桜並木を見に行ったり、町で起こった喧嘩を眺めたり、 お店で一番高価なものを当てっこしたり、本当に楽しい時間が流れた。 『阿伏兎さん!次のお店で勝った方があんみつ奢りですからね!』 「臨むところだすっとこどっこい。」 観光を始めて1時間くらい経っただろうか。 もうそろそろ帰らないといけないなぁと思ったので、 甘味処を最後にしようと私が阿伏兎さんにそんな事を提案した。 阿伏兎さんも快諾してくれて、出来るだけ物があるお店を探し始めた。 すると、遠くの方で物凄い音と共に人の声がこだまして来た。 「おっ妙さああぁぁぁぁん!!!!」 「しつけーんだよテメェはぁぁ!!!!」 私と阿伏兎さんは驚いて声の方を見る。 見ると、一人の女性が飛びついてきた男性にアッパーを食らわせている所だった。 『うっわ凄い!あの人夜兎!?』 「いや……違うだろ……。」 阿伏兎さんが苦笑しながらそう言った。 どうやらあの男性は女性のことが好きで、プロポーズをしているらしい。 持っていた花束が踏み潰されてもまだ男性は諦めていなかった。 『地球の人って凄いですね……。しつこい……。』 「はしつこい男は嫌いか?」 『いや……そこそこならばキュンとくるかもしれませんけど……。』 あそこまではちょっと、と言おうとしたところで、 急に阿伏兎さんが私の手を持って歩き始めたので言葉が途切れてしまった。 私は驚きすぎて何も言えないまま阿伏兎さんに引っ張られた。 握られた手が思った以上に頼もしくて、 私の体温が見る見るうちに上昇していくのが分かった。 「そうと分かれば攻撃あるのみだ。」 『へ、へっ!?なな、何がですか!?』 ふいに聞こえた阿伏兎さんの言葉に、私は過剰反応してしまった。 すると、阿伏兎さんは急に歩くのを止め、 私は慣性の法則に則ってそのまま阿伏兎さんの腕の中へダイブしてしまった。 『あっ、阿伏兎さん!?』 「……これから覚悟しろよぉ?オジさんはしつけぇぞ〜。』 『は!?ななな、何がですか!?いやホント、マジで!』 慌てる私に、阿伏兎さんの悪戯っぽい笑顔。 あぁ駄目だ。本気で鼻血出そう……。 私がそんなことを考えていると、 阿伏兎さんがさらに追い討ちをかけるような言葉を耳元で囁いてきた。 「俺はお前にお熱なんだぜ?」 ニヤリと笑うオジさんの笑顔に、は脳みそ解けちゃいそうです。そっくりそのままお返しします
(阿伏兎さんのニブチン……) (え?何?いきなり攻撃?) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ うぎゃあぁぁぁこんなコト阿伏兎さんに囁かれたら 悶え死ねるうぅぅぅ!!!!!!!(ごろんごろん) ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/05/22 管理人:かほ