しょうせつ

あなたたちの隣で笑えたことが あなたたちの隣で泣けたことが あなたたちの輪に入れたことが アナタと、共に過ごせたことが 何よりも大切なことで 掛け替えのない宝物でした

 

【I'm in need of You.】

『ふ、ぅっ……ひっく……。』 きっと、今頃あの人は怒っているんだろうな。 あんなことを言ったんだ、二度と私の前には現れないだろう。 もう二度とあの人の、阿伏兎さんの顔が見られないんだと思うと、 自然と涙が零れてきた。 『……っう……っ……。』 広い広い部屋の中で、高級そうなベッドの上で、私は一晩中泣き続けた。 自分で決めたことなのに、決心したはずなのに。 もしかしたら、私はここに来ると決めた時、 阿伏兎さんが助けに来てくれるんじゃないかという 淡い期待があったのかもしれない。 だから安心してここに来た。 でも、助けに来てくれたと知った時、全然嬉しくなかった。 むしろ申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 私のせいで、私の中途半端な行動のせいで、 阿伏兎さんはここに来て、傷ついてしまったのだから。 もうこれで本当に終わりにしなきゃ、そう思った。 阿伏兎さんを春雨に帰さなければいけない、そう感じた。 『助けて』の一言を飲み込もうとすると、 それは予想以上に大きすぎて、涙を流さずには居られなかった。 酷い言葉を吐かなければ、立つことすらままならなかった。 あの時の私は、私ではなかったように感じる。 『阿伏兎さん……たす、けて…………。』 意識が闇に飲み込まれていく直前に零れた私の言葉は、 心の中で言ったのか口から発せられたのか、よく覚えていない。

全てに終焉が来るのなら

(望んだ終わりなどありはしないけれど、) (せめて自分の意思で幕を下ろしたかった) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ モノローグだけなので、名前変換なしです。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/09/23 管理人:かほ