『万斉、荷造り手伝ってほしいんだけど。』 「えっ?子作り?」 『言ってねーだろそんなこと。』 いつも通りのやり取りを交わしつつ、 先輩は万斉先輩に大きめのダンボール箱を手渡した。 「これまた随分と大きいダンボールでござるな。」 『武器いっぱい入れないといけないからねー。 ホントはアンタのこと入れて宇宙に放り投げてやりたいけど。』 「せっ、拙者のことを挿れるなど……、まだ昼でござるよ。」 『アンタホント最近イラッとくるわー。』 自分が虐めるのはいいのに万斉先輩に言い寄られるのは許せないらしく、 こうして万斉先輩が変態発言で先輩を攻めると先輩は一気に機嫌が悪くなる。 そのことを知っているあたしと武市先輩は、 2人の背後で拳銃の点検をしながら深い溜息を吐いた。 「いつもは先輩に虐められてる万斉先輩に同情するッスけど、 こーゆー時は先輩に同情するッス……。」 「類は友を呼ぶとはこのことですよ。また子さんもお気をつけなさい。」 武市先輩は溜息混じりにそう言うと、 点検済みの拳銃でいっぱいになったカゴを先輩に手渡した。 『じゃあ万斉、アタシがこの拳銃を袋詰めしていくから、 アンタはそのダンボールにアタシが渡した拳銃を入れてってね。』 「、そんな拳銃よりも拙者の拳銃を……。」 『まだ昼だっつったのはどこのどいつだ!!!!』 先輩は迫ってくる万斉先輩の顔面に怒鳴りながら拳銃を投げつけた。 するとガンッと相当痛そうな音がして、 やっぱり相当痛かったのか万斉先輩が顔を押さえながらその場に撃沈した。 「さん、その辺にしておきなさい。 アナタ万斉さんのこと可愛いんじゃなかったんですか?」 背中合わせに座っている先輩に振り返ってそう言った武市先輩に、 先輩は面白くなさそうな顔をして言葉を返す。 『この万斉は全然可愛くない!アタシは泣き叫ぶ万斉がいいの!』 「先輩それ完全にドSの思考回路ッスよ……。」 堂々と言い放った先輩にあたしと武市先輩が顔を歪めれば、 撃沈していた万斉先輩がおもむろに起き上がり、 淡々と作業をしている先輩に向かって困ったようにこう叫んだ。 「!拙者確かにに罵られるのは嫌いではないが、 拙者にも男としてのプライドがあるでござる!」 『へー、そう。踏まれて悦ぶ男がよく言うわ。』 「踏まれる場所によってはもっと興奮できるでござる!」 『お前ちょっと黙っとけば。』 完全にテンションが下がってしまっている先輩とは裏腹に、 万斉先輩はさらにヒートアップして先輩に言い寄った。 「、拙者は元気に泣き叫ぶ拙者らの子供が見たいでござる。」 『あらそう?じゃあコウノトリさんにお願いしてくれば?』 「そんな子供騙しで拙者が引き下がると思ったら大間違いでござるよ!」 『ったくうるさいわねぇ。 子供子供ってアンタ、育てる時間があると思ってるの?』 先輩がイラついた様子でそう言うと、 一瞬、万斉先輩が「うっ、」と言葉を詰まらせた。 そしてドSの先輩はそのウィークポイントを見逃さなかった。 『テロリストが子育てなんて大変でしょうねぇ。 しかもアンタにはプロデューサーの仕事もあるのに子育てですって? まさかアタシ一人に育てさせようと思ってたわけじゃないわよねぇ?』 楽しそうに万斉先輩に問いかける先輩の表情は、 さっきまでの無愛想な表情ではなく、本当に生き生きとしていた。 そしてさっきまで変態的攻め方で先輩に言い寄っていた万斉先輩は、 痛いところを突かれたのか困った顔で押し黙ってしまった。 『何とか言ったらどうなの?』 「それは……その……。」 言葉に詰まって困った顔をする万斉先輩を見て、先輩は満面の笑みを浮かべた。 『アタシを孕ませるからにはキッチリ育児休暇をとってもらうわよ。 攘夷活動は一切禁止、アタシと子供を死ぬ気で護ってもらうから。』 「い、育児休暇……。」 困り果てる万斉先輩に、先輩はさらに畳み掛けるように言葉を続ける。 『でも収入は必要だからプロデューサーの仕事は続けても良いわよ。 もちろん子連れでね。どう?それでも子供作りたいの?』 「…………。」 万斉先輩の顔を覗きこむようにして迫る先輩は、 久々に万斉先輩を虐められて顔のニヤけを抑えられないといった様子だった。 そんな先輩の言葉攻めに真剣に考え込んでしまった万斉先輩は、 しばらく黙ったままだったが、おもむろにその場に立ち上がり、 「ちょっと考えさせてくれ。」 と言ってふらふらと部屋を出て行ってしまった。 『フッ……勝った。』 「また何時にも増して畳み掛けましたねぇさん。」 武市先輩が呆れたようにそう言えば、 すっきりした顔の先輩は満面の笑みでアタシ達の方に振り返った。 『だって最近万斉に主導権握られっぱなしだったんだもん。 アタシを攻めようなんざ100万年早いのよ!』 「いや、万斉先輩が主導権を握ってるところなんて見たことないッスけど……。」 「アナタに言葉攻めされているか殴られているかの2択なんですがねぇ。」 あたしと武市先輩の言葉に、先輩はぷい、とそっぽを向いた。 『好きな子ほどイジめたくなっちゃうだけだもん。』 「イジめるっていうよりは叩き落してたッスけど……。」 呆れるあたしの言葉なんか聞こえないといった様子で、 先輩は『これでしばらく大人しくなってくれないかなー♪』と 鼻歌混じりに作業を再開した。優位に立ちたい女王様
(!拙者愛に生きることに決めたでござる!だから今すぐ拙者との子を孕んでくれ!) (さん、大人しくなるどころかさらにパワーアップして帰ってきましたけど) (何コイツ信じらんない……) (いやどっちもどっちッスよ) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 下品な言葉を許せる方にしかお勧めできない小説。コレは酷い。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2011/08/06 管理人:かほ