ガキ共が買い物に出掛けたおかげで、俺は今と2人きりだった。 部屋の端っこでは定春が丸まって眠っているが、それはあえてスルーの方向で。 とにかく、俺は今と2人きりだった。 邪魔する奴は誰も居ない。 勿論ガキも居ないのでちょっとエロいことしても大丈夫。 ……ただに怒られる。 久々に訪れたそんな楽園のような状況下で、 俺はさて何をしてやろうかと一人でほくそ笑んでいた。 後ろからいきなり抱きついてやろうか。 ……いや、それは鳩尾に肘鉄を喰らわされそうなので止めておく。 もっと反撃されてもダメージの少ない驚かせ方がいいな。 急にちゅーしてやるのはどうだろうか。 ……いや、そんな事したら 『銀時なんて大ッ嫌い!』とか言ってまず平手打ちをかまされ、 次に家を飛び出してババァのところに泣きながら帰られ、 『お登勢さん聞いて!銀時に襲われた!』とか言われて 結局俺が女4人(内一人はカラクリ)に責められる羽目になってしまう。 俺はそこまで考えて、過去に同じような事があったなぁと頭を抱えた。 確かあの時はババァと年増女にものっそい蔑んだ目で見られたんだ。 別にいいじゃん俺の女なんだからと反論したら、 何故か神楽を交えて「女の敵!」「最低野郎!」と小一時間罵られた。 あんな惨めな思い、もう二度とゴメンだ。 俺はまた別の方法を考える為にソファーにもたれかかり腕組みをした。 『ねぇねぇ銀時。』 「あぁ?」 俺が「を驚かせよう大作戦」についてあれこれ思案していると、 ターゲットであるが自分から俺に話しかけてきた。 それに内心驚きつつも返事をすれば、 は満面の笑みで俺ににこっと笑いかけてくる。 その笑顔に、俺の心臓がドキッと大きく飛び跳ねた。 『銀時なんて大ッ嫌い!』 前言撤回。俺の心臓がザクッと大きく傷ついた。 俺は何故かに天使のような微笑みで罵られてしまった。 え、何で?俺まだ作戦決行してねぇけど!? 「ちょっ、待てよ!!俺まだ何もしてねぇだろーが!!」 『え!?何!?どういうこと!?』 俺の叫びに、が驚いた声でそう言った。 「何で俺のこと嫌いなんだよ!!理由を言え理由を!!」 『ちょ、銀時ストップ!!エイプリルフールだから!!』 脳内を覗き込まれたのかと思って焦った俺がの肩をガシッと掴むと、 は慌てた様子で俺に向かってそう叫んだ。 その言葉に俺はピタリと一時停止をする。 「……エイプリルフール?」 『そう!今日は4月1日でしょ? だから銀時に大ッ嫌いって言って、実は大好きでしたみたいな……。』 は心臓を押さえながら 『そんな軽い気持ちだったのに……』と言って深呼吸をした。 そうか、今日はエイプリルフールなのか。これは好都合だ。 「を驚かせよう大作戦」のいい案を思いついた俺は、 心の中でガッツポーズをしてから早速作戦を決行した。 「んだよテメー……いきなり大ッ嫌いとか言うなよなー。 俺今すっごい傷ついた。銀さんのハートはプリズンブレイクだよお前。」 『ごっ、ゴメン……。』 俺が俯きながら暗い声でそう言うと、 案の定はとても申し訳なさそうな顔をして俺の顔を覗き込んできた。 『銀時、怒った?』 「怒ったっつーか、傷ついたなー。」 『ご、ごめん……。』 「あーあー、どーしてくれんだよ。俺超テンション下がったなー。」 『ご、ゴメンってば……。』 「が自分からちゅーしてくれたらテンション上がるんだけどなー。」 俺がそう言ってからニヤッとに笑いかければ、 は俺の思惑を理解したようで『してやられた』と言いた気な顔をした。 『銀時アンタ、仕返しのつもり?』 「傷ついたのは本当だぜ?落ち込んではいないけど。」 俺は不敵な笑みを浮かべながらそう言って、 呆れ返っているの腕を掴んで自分の方に引き寄せた。 するとは『わっ!?』と声を出し、そのまま俺の腕の中にダイブする。 いつもならここでが嫌がって暴れ出すのだが、 今日はさっきの事もあってか全くと言っていいほど抵抗してこなかった。 「ほれ、俺にちゅーしてみろよ。」 『こ、このドS……!』 「んだよ、先にやってきたのはお前の方じゃねーか。 ほれほれ、銀さんの傷ついた心を癒してみろよ。」 俺がニヤニヤと笑いながらそう言うと、 は心底悔しそうな顔で俺を見上げてきた。 バッカだなぁ。 そんな顔したら俺が悦ぶことくらい分かってるだろうに。 『……一回だけだからね。』 「バカかテメー。俺が一回で終わらせるわけねぇだろ。」 俺の首の後ろに手を回しながらムッとした顔で言ってきたに、 俺はの後頭部に手を回しながらそう言葉を返してやった。 するとは諦めたようにふっと微笑み、そっと俺に口づけた。嘘つき娘と狡猾ドS
(やっぱり銀時なんて大ッ嫌い。もう、大ッ嫌い!バカ!) (はいはい、俺もお前が大ッ嫌いだぜ。思わず虐めたくなるくらいにな) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ ツンデレヘタレな銀ちゃんもいいけど、 こういう狡猾ドSな銀ちゃんも大好きです。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2011/04/05 管理人:かほ