その日、俺はいつものように社長イスに座ってジャンプを読んでいた。 神楽は友達と遊びに行ったし、新八はお通ちゃんのライブだとかで休み。 は店の手伝いがあるとかで昼から出勤予定だ。 まぁ仕事も入ってないし別に来ても何もすることはねぇんだけど、 俺が久々に2人の時間を楽しみたいと思ったので 「給料差っ引くぞ」の一言で無理やり出勤にしたのだった。 そこまで考えて、俺の脳内にはの恨めしそうな顔が鮮明に思い出された。 その場ではそんなに睨むなよと言っておいたけど、 の怒った顔とか恨めしそうな顔とか可愛いんだよなぁ……。 アイツ自分で気づいてるか知らねぇけど、絶対に上目遣いになるし。 だからこっちはニヤけるのを我慢するのに精一杯で…… あっヤベ、ジャンプの内容全然頭に入ってねぇわ。 ガララッ 俺が妄想の世界から帰ってきた瞬間、急に万事屋の扉が開く音がした。 そして姿を現したのはなんとだった。 俺は驚いて時計を確認したが、時刻は午前10時。出勤にはまだまだ早い。 「どうした、何か用か?」 俺が問いかけると、は目を伏せて急にモジモジし始めた。 『あ、あのね、銀時……。』 恥ずかしそうに俺の名前を呼ぶの声に、 俺の理性は爆破5秒前のカウントダウンを開始した。 え、何?もしかしてそういうイベント突入のフラグ? 久々の2人の時間を初体験に使おうってそういう魂胆か? 少年誌でやっていいの?ねぇコレ進むボタンを押していいの? 予想外のの行動に、俺は思わずジャンプを落としてその場でバッと立ち上がった。 そしてゆっくりとに近づいていけば、はさらに照れた様子で顔を伏せる。 オイオイ何この可愛い生き物。こんなの地球上に存在してもいいの?ねぇいいの? 「……。」 俺がの肩に手をかけながら熱っぽい声で名前を呼べば、 はこれまた熱っぽい声で『銀時……』と俺の名前を呼んできた。 これはもう確定事項だ。R-18指定タイム突入の合図だ。 俺は意を決し、の顔に自分の顔を近づけ始めた。すると……。 『出来ちゃった。』 「へ?」 マジでキスする2秒前のところでが急に訳の分からない事を言い出したので、 俺は間抜けな声を出して動きを止め、の顔を見た。 するとは自分の腹をさすりつつ俺に微笑みかけた。 『アタシ、妊娠しちゃった。』 そのの言葉に、俺の顔は一瞬にして表情を失った。 え?何て?コイツ今なんつった?妊娠?? いや、待て待て。俺一回もとヤったことねぇけど?え?何?妊娠? ちょっと冗談よしてくれよ。 あ、アレか?今から子作りしましょう的な?そんな感じ? いやでもさっき出来ちゃったって……。 そこまで考えて、俺は顔を引きつらせた。 「えぇっと……ちゃん?妊娠したって一体どういうこと?」 『どういうことって……分かるでしょ?銀時とアタシの子供を身篭ったの。』 「え?誰の子を?」 『だから、銀時とアタシの子!』 「嘘つけぇぇ!!俺お前とヤったことねぇじゃねーか!! お前がまだヤるのは嫌とか言うから俺ずっと我慢してんじゃねぇかァァ!!!!」 あまりの衝撃に俺がの肩を強く握りながらそう怒鳴れば、 は『止めて痛い!』と声をあげて俺の手から逃れようとする。 『何興奮してるのよ銀時!止めて!母体にストレスが!』 「俺が一番ストレス喰らってるぅぅ!!!! テメー浮気しやがったな!?俺がお前とヤって忘れるわけねーだろ! そんな夢の瞬間がいつの間にか過ぎ去ってるわけねーだろーが!!」 俺が尚も肩を揺さぶりながら怒鳴りつければ、 はキッと俺を睨んで怒った様子で俺に言葉を返してきた。 『もう!いい加減にして!これが初めてじゃないでしょ!?』 「はぁ!?」 訳が分からず俺が眉間にしわを寄せれば、の後ろから何やら軽い足音が。 てってってっ、と音を立てて俺の足元にやって来たのは、 なんと俺そっくりの小さい女のガキだった。 「パパー!」 そのガキはそっくりの可愛らしい声でそう言って俺の脚に抱きついた。 背は俺の腰より少し上くらい。 俺そっくりの銀髪をツインテールにして、のような可愛らしい笑顔で俺を見た。 「え、何?誰この俺とそっくりのガキ。」 『何言ってるのよ、アタシ達の子でしょ?』 呆気に取られる俺の様子を怪訝そうに見つめながら、がサラリとそう言い放った。 「パパ変!」 『そうねー、今日のパパは変ねー。』 「まぁいつも変だけどね!」 『あら、上手いこと言うわねー。』 そんな会話を繰り広げながら俺の目の前でニコニコ微笑んでいるとガキの姿に、 俺は思わず頭を抱えながら全力で叫んだ。 「何じゃコリャアァァァァ!!!!!!!」 ガバァッ 気がつくと、俺は布団の上で汗びっしょりで座っていた。 『おはよー。』 アタシがいつものように出勤すると、 襖の前で立っていた新ちゃんと神楽ちゃんが同時にアタシの方を見た。 その異様な光景に、思わずアタシは息を呑む。 『え、何?どうしたの?』 アタシが苦笑いでそう尋ねれば、2人は怯えた表情で一斉に銀時を指差した。 「はぁ……夢かぁ……。俺実はすっげぇ子供がほしーのかもなぁ……。」 そう言ってまた深い溜息を吐いた銀時に、アタシは2人と同じ表情になった。 『え、何?銀時どうしたの?』 「朝起きた時からずっとあんなんネ。」 「僕達が声をかけても反応ナシで……。」 心配そうな顔でそう言う2人にアタシも自然と表情が強張り、 またブツブツ言いながら溜息を吐きだした銀時を3人一緒に遠目から眺めていた。坂田銀時の華麗なる妄想
(アイツの目元、そっくりだったなぁ……) (え?何?元カノの話?) (いや、違うと思いますけど……) (どーせと自分の子供が出来た夢でも見たんダロこのマダオが) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ おバカな銀ちゃんの妄想シリーズ第ニ弾! 銀ちゃんって結婚願望とか子供願望とか結構強いイメージ。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2011/07/31 管理人:かほ