あーん。 空に向かって大きな口を開く銀時を振り返り、アタシは大きな溜息を吐いた。 『ちょっと銀時?雪なんて食べたらお腹壊すよ?汚いかもしれないでしょ?』 「こんなに白ぇもんが汚ぇわけねーだろ?」 銀時がそう言えば、その大きく開かれた口に小さな雪が飛び込んだ。 「んー……冷てぇけど、やっぱ食った気にならねぇなー。」 銀時は残念そうにそう言って、 少し前で立ち止まっていたアタシの元に歩み寄ってきた。 「流石の俺も地面に積もってる雪は食いたかねぇけど、 降ってくる雪をどっかに溜めてたらふく食ってみてぇなー。」 『もぉー。お腹壊しても知らないよ?』 銀時が追いついてきたのでアタシはまた歩みを進めた。 それにしても今日は随分と雪が降るなぁ……。 まだ12月だと言うのに、かぶき町は辺り一面銀世界だ。 「あとやっぱりシロップがねぇとダメだな。全然甘くねぇもん。」 銀時はまだ雪の話をしているらしく、 腕を頭の後ろで組んでボーっと空を眺めながらそう言った。 『冬にかき氷なんか食べたら絶対にお腹壊すってば。』 「こたつの中で食べりゃいいじゃねーか。」 『何贅沢なこと言ってんの!このおバカ!』 アタシは言いながら銀時の頭にチョップした。 すると銀時は「いてぇ!」と小さく呻いた後、 恨めしそうにアタシを見つめて「冗談だよ、」と呟いた。 そんな銀時が可愛くて、アタシはちょっとだけ微笑んだ。 『世の中にはねぇ、人生を狂わす程の、こわーい白いのもあるんだからね。』 アタシが言えば、銀時は「えっ」と変な声をあげてアタシを凝視する。 『ちょっと食べただけなのに、すぐにお腹いっぱいになるのよ?』 「え、ちょ、ちゃん?」 『何よ。』 アタシは出来るだけぶっきら棒に返事をした。 だってそうでもしなきゃ顔がニヤけてきちゃうから。 銀時は予想通り驚いた様子で目を見開いて、 でもちょっと嬉しそうな顔でアタシに尋ねてきた。 「その白いのって、もしかして俺のこと?」 『はぁ?何言ってんのアンタ。自惚れんのも大概にしなさいよね。』 悪戯っぽくそう言って、アタシは銀時から目の前の道に視線を戻した。 『白いのって言ったけど、実は真っ黒かもしれない。腹ん中が。』 「なぁそれ俺のことだよな?絶対に俺のことだよな?」 『昔は真っ赤に染まってたかもしれない。』 「それぜってぇ俺だろ!!」 『違いますー。定春のことですー。』 「嘘つけよ!テメェ可愛くねぇぞ!」 アタシがなかなか本当のことを言わないことに腹を立てているのか、 銀時は若干イライラした様子でそう怒鳴った。 こーゆーガキっぽいところも短気なところも、 銀時の可愛いトコロだよなぁと思ってアタシはケラケラと笑った。 『別に可愛くなくていいもんねーだ。』 「てっめぇいい加減にしろや!」 言いながらアタシが背を向けると、 銀時はやっぱり怒った顔でアタシの肩を引き寄せた。アタシを侵食する白夜叉
(その白いのはねー、中毒性があって、じわじわ体を蝕むの) (……んだよそれ。ちょっ、ダメだわ。流石の俺でも照れるわそれ) (それでねぇ、モジャモジャしててなんか鬱陶しいのになかなか消えない) (それ完全に俺だけど愛を感じない!!!!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 雪を食べる銀ちゃん。(そんな時をかける少女みたいな言い方) ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2012/05/06 管理人:かほ