「辰馬テメー!!俺のから離れやがれ!!」 「坂本貴様、俺のを吐物で穢したらただではおかんぞ!!」 アタシが辰馬のギャップ攻撃にやられていると、 取っ組み合いの喧嘩をしていた2人がヤイヤイ言いながらアタシ達の元へと歩み寄ってきた。 そんな2人を見つめながら、辰馬はやっぱりアホっぽい笑い声をあげる。 「アッハッハ!心配せんでもいずれわしのビッグマグナムで穢しちゃるきに!」 「「その発言アウト!!!!」」 銀時と小太郎のダブルツッコミを物ともせず、 辰馬は依然アッハッハ!とアホな笑い声をあげていた。 そんな3人の姿を見て、昔の戦場を思い出す。 そう言えば、あの殺伐とした戦場にも、こんな風景があったような気がする。 「あ、そーじゃそーじゃ。、これをやるきに。」 銀時と小太郎に文句を言われていた辰馬が急に何かを思い出したかのようにそう言って、 アタシにカードくらいの大きさの紙の束を手渡してきた。 『何コレ?』 辰馬からその紙の束を受けとった後よーく見てみれば、 それは色んな惑星のキャバクラのポイントカードの束だった。 「わしのキャバクラ遊び許可権をにやるぜよ。せやき、わしと結婚してくれ。」 『今ここでこのポイントカードの束を燃やしてもいいってんなら考える。』 「そりゃあできん!あと3回行けば膝枕無料券がもらえ『却下。』 アタシが冷たく言い放てば、辰馬は「なしてじゃぁー!」と情けない声を出す。 そうだった、さっきの真面目な辰馬に騙されるところだったけど、 コイツ性病持ち(疑惑)なんだった。 「坂本、貴様まだそんなふしだらな場所へ通っているのか。」 「ふしだらとは何ぜよ。男やったら誰もが目指す桃源郷ぜ。」 「だから貴様はダメだと言うんだ。」 小太郎は深刻な顔をしてそう言い放つと、ゆっくりとアタシの元へ歩み寄ってきた。 「、俺は違うぞ。俺は他の女には見向きはしない。 必ずやお前だけを見つめ、お前を幸せにすると誓おう。」 『こっ、小太郎……。』 小太郎は真剣な顔をしてアタシの両手を握り締め、 いつもの3割り増しくらいの真剣な声色でそんなことを囁いてきた。 ダメだ、いつも電波な小太郎ばっかり見てるから、 こうして真剣にプロポーズされると思わずドキドキしてしまう。 これが世間で流行っているギャップ萌えというやつなのだろうか……。 だから攘夷戦争時代はそんなにドキドキしなかったのだろうか。 あの頃はみんな一瞬も気を抜かず、常に真剣に戦ってたから、 ちょっとやそっとの真剣っぷりじゃあアタシはオトせなかったってこと? そんなのマズイ! だって、今のコイツ等はド底辺だから、 少し真面目にするだけでいつもの倍カッコよく見えちゃうもの!! 「……今すごく失礼なことを考えただろう。」 『えっ!?い、いや!?』 仰るとおりすごく失礼なことを考えていたアタシは、 小太郎に指摘され思わず声が上ずってしまった。 何だコイツは、人の心が読めるのか。それともアタシめっちゃ顔に出てた? 「っつーかお前そのいちいちの手ぇ握んのやめろや!!」 アタシが小太郎と見詰め合っていると、銀時が突然そう怒鳴りだし、 手刀で思いっきりアタシと小太郎の手を引きちぎった。 「古ぃーんだよお前のプロポーズはよぉ!もっと新しいことに挑戦しろや!!」 「なら銀時、貴様は新しいプロポーズとやらをやったのか?」 「おーよ!ミーのステディになって下さいって言ったとも!!」 「おんしは相変わらず発想がオッサンじゃのぉ〜。」 「あぁん!?何か言ったか!?」 「今のプロポーズ最先端は宇宙式プロポーズぜよ! 好いちゅー相手を自らの胃袋に詰め込んで溢れんばかりの愛を表現するという……。」 「それただの食恋族の話だろーが!!」 「溢れんばかりの胃液の間違いだろう!! そんなことをしたらが死んでしまうではないか!!」 「お?それもそうじゃのぉー……アッハッハッハ!!」 そんな一連のバカな会話に、アタシは思わず笑ってしまった。 全くコイツ等は、いつまで経ってもバカのままなんだから。 そんな穏やかなアタシ達の時間を切り裂いたのは、 血相を変えて万事屋に駆け込んできた新ちゃんと神楽ちゃんの声だった。 「さん大変です!!外!!外見てください!!」 「銀ちゃんヤバいネ!!早くを隠さないと!!」 「あぁ?お前ら何言って……。」 「いいから!!坂本さんも桂さんも、みんな外見てください!!」 アタシ達は新ちゃんと神楽ちゃんに背中をグイグイと押され、 訳が分からないまま玄関の外へと追い出された。 そして2人が指差す方向に目を向けると、そこには見覚えのある船の姿が。 「あー、あー、かぶき町に住む未来の高杉に告ぐ。 このままこの町ブッ壊されたくなかったら大人しく俺について来い。」 拡声器から聞こえてくるその声は間違いなく晋助の声だった。 そして近づいてくる船の上には、黒スーツに身を包んだ晋助の姿。 「あやつ、この町を人質に……!!相変わらず卑怯なマネを!」 「っつーか未来の高杉って何だよ!の未来の苗字は坂田だっつーの!!」 「アッハッハッハ!さすが高杉はやることがハデじゃのー!」 呆気にとられて開いた口が塞がらないアタシとは対照的に、 銀時たちは突然予想外の登場をした晋助に思い思いの言葉をぶつけていた。 一方プロポーズ大作戦のことを知らない新ちゃんと神楽ちゃんは、 あの鬼兵隊が攻めてきたというのに顔色一つ変えない3人に理解できないといった様子だ。 「ちょっと銀さん!呑気なこと言ってる場合ですか!!」 「って言うか何で銀ちゃんスーツ着てるアルか? ヅラに至っては何で羽織袴なんだヨ。お前らバカだろ。」 『あー、新ちゃん、神楽ちゃん、これにはアホな事情があってね……。』 アタシが2人にプロポーズ大作戦のことを教えようとするのが早いか、 突然晋助の船から網が飛んできてアタシが晋助に捕まってしまうのが早いか。 咄嗟に手を伸ばしてくれた3人に向かってアタシも手を伸ばし返すけど、 あともう少しのところで届かず、アタシは鬼兵隊の船に捕らわれてしまったのでした。黒い獣の猛アタック
(って言うか明日から恥ずかしくて町を歩けないじゃないのよー!!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 次回は晋ちゃんのターン! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2013/03/29 管理人:かほ