『いいぃぃぃやああぁぁぁぁ!!!!! 晋助ごめん!!もう身長低いなんて言わないからあぁぁぁ!!!!!』 「今言ってんじゃねぇか!!いいからさっさと下僕になりやがれ!!」 アタシと晋助がメイド服を着る着ないのアホらしい攻防を繰り広げていると、 突然ガンッ!!という軽快な音と共に部屋の扉が開け放たれた。 「無事か!!!!」 「高杉テメーから離れやがれ!!!!!」 「ー!わしが助けに来たからにはもう安心やきー!」 『銀時!小太郎!辰馬!』 扉から勢いよく入ってきたのはなんと地上に居るはずの銀時たちだった。 まさか鬼兵隊の船内に乗り込んでくるとは思わなかったのか、 晋助は一瞬驚いたような顔をして、そしてすぐにアタシを解放して3人と対峙した。 「テメェら……何故ここに?」 「わしの船でちょちょいと追いついたぜよ!」 「船内には貴様のところの金髪少女が快く招き入れてくれたわ!!」 「テメーとの結婚ぶち壊してくれってな。」 「また子か……。」 そう言えば、鬼兵隊にはまた子ちゃんという晋助にゾッコンな女の子が居たな……。 紅桜の時はなんて趣味の悪い子だろうと思っていたけれど、 こういう時には頼もしい味方になってくれるのか。 ありがとうまた子ちゃん。あの時シミ付き女とか言ってごめんね! 「!俺の胸へ飛び込んで来い!そして私は桂になりますと宣言しろ!」 「いいや!俺んトコに来いよ!未来の坂田夫人は私だってコイツ等に言ってやれ!」 「何を言うがか!は快援隊のファーストレディになるがよ!」 「バカ言うんじゃねぇ!は高杉になるんだよ!」 何をぅ!そっちこそ!そんな小学生のような売り言葉に買い言葉で、 銀時が小太郎の胸倉をつかみ、晋助が辰馬の胸倉をつかみ、 かと思ったら銀時が晋助の髪の毛をつかみ、小太郎が辰馬の毛玉をつかみ、 ひっちゃかめっちゃか、4人の大乱闘が始まってしまった。 「っつーか高杉テメー!さっきを脱がせようとしてやがっただろ!!」 「何!?それは本当か高杉!!」 「自分の女脱がして何が悪ぃんだよ!!」 「なんというふしだらな……!!貴様も坂本も恥を知れ!!」 「俺をこんなちゃらんぽらんと一緒にすんじゃねぇよ!!」 「ちゃらんぽらんとは失礼やき!天然パーマに悪い奴はおらんがよ!」 「そうだ辰馬ァ!もっと言ってやれぇ!!」 「天然パーマの女はのぅ!高確率でテクニシャンじゃ!」 「やっぱり黙れ辰馬!!」 「貴様の頭の中はそればっかりか!!」 ぎゃーぎゃーとレベルの低い言い争いを続ける4人の姿に、 アタシは数年前の攘夷戦争がつい昨日のことのように思えてきて、思わず口元が緩む。 あの頃アタシ達はたくさんの血を流して、たくさん失って、たくさん傷ついてきたけど、 でもあの頃にだってこうしてみんなでバカやってた風景が確かに存在した。 銀時が隊長のお饅頭食べちゃってゲンコツ食らわされてたこと。 小太郎がめんどくさい拗ね方をしてみんなに総ツッコミを食らったこと。 晋助が「水洗トイレじゃないとイヤ」とか言って全員からアッパー食らわされたこと。 辰馬がいきなり戦場の中心でアタシに愛を叫んで隊長に刀を投げつけられたこと。 アタシ達が冗談を言い合っていると、必ず周りも一緒に笑ってくれたこと。 銀時も小太郎も晋助も辰馬も、昔のようにカッコ良くはなくなってしまったけれど、 こうしてまた5人でバカやって笑いあってどつきあって、それだけで幸せかもしれない。 戦争が終わってもこうしてまた集まれる口実になるのなら、 4年に一度のこのバカげたプロポーズ大作戦も、存外悪いものではないのかも。 そこまで考えて、アタシは『ふふ、』と微笑んだ。 『銀時!小太郎!晋助!辰馬!』 「あぁ?」 「なんじゃぁ?」 アタシが名前を呼ぶと、4人共殴り合っていた手をピタリと止めてアタシの方を向いてくれる。 『アタシのこと好き?』 そう言いながらアタシがニタリと笑えば、 ったりめーだろ!当たり前だろう!当たり前だ!当たり前じゃあ! それぞれが他に負けじと声を張り上げて答えてくれた。 そして声が揃ったことが癇に障ったのか、 4人とも「あぁ?」といった様子でお互いを睨みあった。 そんなみんなを見て、アタシはまた声を出して笑った。 『じゃあ、4年後も頑張ってね。』 アタシが笑顔でそう言えば、4人は一瞬ガッカリしたような顔をして、 そしてすぐに「ふ、」と微笑んでアタシのところへ歩み寄ってくれた。プロポーズ大作戦
(欲張りだけど、1人なんて決められない) (アタシはこの4人と居る時が、他の何よりも一番大好き!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ なんだかんだいって、結局は昔と同じように仲良しな攘夷で居てほしいんです! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2014/08/15 管理人:かほ