鴨太郎、鴨太郎と僕の名前を呼ぶ声をまだ覚醒しきっていない頭で聴きながら、 僕はキラキラ光る朝日の中で目覚めた。 「……なんて綺麗なんだ……。」 障子の光を背にしてまるで後光が射しているかのようなの姿に、 僕は思わずそう呟いてしまった。 それを聞いたは驚いて『えぇ!?』と叫んだ後、照れ隠しなのだろうか、 顔を真っ赤にして僕の肩を思いっきりバシン!と叩いてきた。 「……ったぁ!?」 僕は一気に目が覚め、キッとを睨んでやる。 『アタシは悪くないもん!!鴨太郎が悪い!』 「僕は思った事を口にしただけで……!」 『それが駄目なの!は、恥ずかしいじゃないの……!!』 真っ赤に染めた顔を隠すように俯くに、自然と笑みがこぼれる。 僕が『すまなかったね、』と言ってやると、 も小さな声で『いいよ、ごめんね』と言い返してくる。 そして突然思いついたようにあっ、と言い、 後ろに置いてあった膳を僕の前に差し出した。 「……?これは?」 『朝食よ?鴨太郎言ったじゃない、愛をくれって。 今日一日の食事は全部アタシが作ってあげるからね! お昼もちゃんと屯所で食べてよ〜?』 夜は皆で宴会だから特別じゃなくなっちゃうけどね、と苦笑して、 は美味しそうな膳を僕に手渡してくれた。 そういえば、食堂で朝食をとらないなんて初めてじゃないか。 昔、何度か風邪をこじらせた事もあったが、 その時まだが居なくて、僕はずっと孤独だと思い込んでいた。 それ故に、誰にもそれを悟られぬようにと人を避けて生活をした。 こんな暖かい膳が、愛しい人が作ってくれた朝食が、 自分の元に届けられる日が来るなどとは夢にも思っていなかった。 ニコニコと自分に笑いかけるに『いただきます』と笑いかけ、 箸を取り味噌汁を一口飲んだ。 さすがだ、僕の味の好みをよく理解している。 そしてもう一度に笑いかけ、おいしいよ、と言ってやると、 は満面の笑みで『良かったぁ!』と笑ってくれた。 「なんだか、新婚さんみたいだね。」 『なっ!?ばば、バカな事言ってるんじゃないわよ!!』 「、昼食はキスで十分だよ。なんてね。」 『キッ……!?』 「あはは、顔が真っ赤だよ。あ、この魚も美味しい。」 『……〜ッ!!!!!』 恥ずかしさのあまり僕に一言も言い返せないが、 その持て余した反論を色に変えて顔を染めている。 僕はそれを微笑ましく見ながら、暖かい朝食を進めていった。 『……鴨太郎。』 「ん?なんだい?」来年もその先もずっと……
(メリークリスマスって言ってあげるね!) (楽しみにしておくよ) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ クリスマス記念小説、真選組編でした☆ ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2008/12/25 管理人:かほ