「ねぇ、。抜け出しちゃおうよ、こんな退屈な任務さ。」 某惑星の中枢機関の破壊を命じられ、いつものように 殺戮を楽しんでいた私を呼び留めて急に何を言い出すかと思ったら、 ウチの馬鹿団長はこんな事を言い出した。 『つまんないのは団長が強すぎるからっしょ。 私はこんくらいが丁度いいんですぅ〜。』 わざとスネたようにそう言って、 私は最後の敵(確か荼吉尼族だっけ?)の頭部を吹っ飛ばした。 『それにっ! 私ごときの弱い夜兎族は真面目に殺らなきゃ殺られちゃうんですから、 殺しの真っ最中に話しかけないで下さい!』 顔についた返り血を手の甲で拭きながら、 私は団長をバッと振り返って空いている手でビッと指さした。 「いざとなったら俺が守ってやるじゃないか。」 私はその笑顔にキョトンとして上げた腕を下げる。 あの強い奴が大好きで、弱い奴なんてすぐに息の音止めちゃうような団長が、 今、何て? 「だけは守ってあげるよ。大好きだからね。」 『……か、からかってるんですか?』 「前の俺ならそうかもしれない。」 依然ニコニコと笑っている団長は、何を考えているのかさっぱり分からない。 あぁもぅ、顔真っ赤になってないかな、私。 ここで真っ赤になったら、団長に負けたみたいで超悔しいからヤだなぁ。 『かっ、からかわないで下さい! ほら、さっさと阿伏兎と云業に合流しますよ!!』 私はそっけなく平然を装って踵を返した。 照れ隠しとか思われてたら嫌だなぁ……。 まぁ実際そうなんだけど。 「。」 私が歩き始めようとした時、ふいに団長に名前を呼ばれた。 『何ですか?まだ何か……っ……!?』 照れすぎて、逆に半ば怒り気味の声でそう言って振り返ると、 団長の顔が間近にあって、そうかと思うと急に口が塞がれた。 あまりにも急な出来事に思考回路が停止する。 団長の馬鹿力で肩を捕まれているため、逃げ出すことも出来ない。 唇に触れる人肌の温もりが、一気に全身に巡るのを感じた。 「あはは、真っ赤になってるじゃないか、あのが。」 私の呼吸を自由にしたと思ったら、 今の今まで自由を奪っていた張本人がいきなりケラケラ笑い出した。 そして、私は自分がタコと見紛うくらい真っ赤に茹っているのが分かって、 その所為でさらに顔を紅くさせた。 「あー、面白かった。じゃ、行こうか、。」 団長はそう言うと、私の肩に置いていた手を徐に降ろして、 当たり前のように私の左手をとりスタスタ歩き出してしまった。 まるで今ここで何事もなかったかのように。 私は強引に引かれる左手に引っ張られながら、団長の後ろを歩く。 考えるのはただ一つ。 この人の考えてることが切実に知りたい。 ねぇ団長?面白かったって……今さっきのは冗談ですか?
(どっちだと思う?) (どっちの方がいいって言って欲しいんですか?) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ おまけ 「ねぇ、この星に遊郭はないのかなぁ?」 「さぁ?あってももぅすでに壊しちゃってますよ。」 「そっか。じゃあホテルもないのか、残念。」 「…………ぇ?それどういう……。」 「じゃあ、船の中でいいよね?」 「いいわけあるかァァァ!!!!!」 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2008/10/30 管理人:かほ