「?俺、前に言ったよね。 女は強い子供を産むかもしれないから生かしてるって。」 ふいに、団長がそんな事を言いだした。 『腐るほど聞いてますけど、それが何か?』 まぁ団長が急に訳の分からない事を言い出すのはいつもの事なので、 私はたいして動じる事もなく、その問いに答える。 あぁ、最近私、苦労人の阿伏兎さんと似てきたなぁ……。 苦労してるってコトなのかな、やっぱ。 私が心の中で、はぁ、と溜息をついたのも知らずに、団長は話を続ける。 「じゃあ、には俺以外との子供を生ませる気はないから、 が俺のものじゃなくなった瞬間に殺すよって言ったのは覚えてる?」 『あー……なんか言ってましたねぇ、そんなコト。』 一瞬『殺す』という単語にドキッとしたものの、 団長が問うている話の内容を理解して呆れた口調になる。 この人は私を完全に自分の所有物だと思っている。 私がこの人のモノでなくなった瞬間、私にはもう生きる価値はないのだ。 団長のモノでなく、団長の子を生まない私など、必要ないんだ。 これは団長の気が向いた時に嫌というほど聞かされてきた。 今は団長の事を好きだから聞き流せるけど、 もしも私が団長よりも好きな人が出来る日が来ることがあったならば、 一体どうしたものかと内心冷や冷やしている。 その反面、いつも所有物扱いされているのに腹が立っていたので、 私は団長の目を見て不満そうな顔をし、抗議する事にした。 『団長、アタシの事本当に好きなんですか? なんか嘘くさい。愛がない所有物みたいな扱いだと思うんですけど。』 「何言ってるの?俺が他の人間に“好き”なんて言った事あった?」 ドキッ。 私の意志とは裏腹に心臓が高鳴る。 顔もきっと真っ赤になっているであろうから、慌てて顔を逸らした。 この人はズルい。今、確かに“人間”と言った。 他の女とは言わずに人間と言ったこの人の愛を不覚ながらも感じ取ってしまった。 『……そう、ですよね。他に団長が弱いアタシに固執する理由がないですもんね。 団長は、家族や他人にすら興味のない、世界に無関心な人だし……。』 「分かった?他の奴に興味がない分、俺の愛は重たいんだよ、。」 そう言って、団長は私の腕を引っぱって自分の手中に収めた。 体温がどんどん上昇していくのが自分でも分かる。 このままだと悔しいので、もう一つ疑問に思ったことを聞いてみることにした。 『団長?もしアタシが団長の子を生めなくなったら、殺されちゃうんですよね?』 「うん、そうだよ。だって、他の奴の子を作るなんて見たくないもん。」 『でもね、それならアタシが子供を産めない体になってしまっても、 それは団長の意にそぐわないって事で、殺されちゃうんですよね?』 私が団長の顔を見上げてそう言うと、決して頭が悪いわけではない団長は ちょっと間考える仕草をして、そしてゆっくりと私の目を見て答えてくれた。 「……そっか。それは違うかな。じゃあ、俺のモノじゃなくなった瞬間でいいや。」 『あんまり変わってないじゃないですか。』 「言っただろ?俺の愛は重たいんだって。 俺がこんなにも好きなのに裏切られたら、やっぱり殺しちゃうじゃないか。」 『……はいはい、肝に命じておきますね。』 ホントにこの人は綺麗な顔でとんでもない事を言い出す。 私はいつもの事だと呆れた声でそう答えた。 「でも、はこんな脅しに屈するような女じゃないもんね。」 『……?』 「もしも俺より好きな奴が出来たら、 俺を殺してでもそいつの所に行くんだろうなぁ、きっと。」 『……。』 団長の声には、悲しみの色も哀愁の色も全く見えなかった。 感じ取れるのは、喜びと優しさだけ。 私は不思議に思って遠くを見つめる団長の顔をじっと見つめた。 すると、団長は急にこっちを向いてにっこり笑いかけてきた。 それに驚き、赤面したのは言うまでもない。 「だから今俺は安心してを愛せるんだよ。」 『……ッ。なに真顔で恥ずかしい事を……。』 「、キスして?」 『…………はいはい。』素直で真っ直ぐなキミだから
(ん……。あ、、俺ヤりたくなってきた) (それは断固拒否します) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ あれれー?何でこんなお兄ちゃんになっちゃったのー? 最近ある方のせいで神威の性格が崩落してきた気が……。 あれれ、私の中では奴はDV野郎だったのになぁ。(えぇぇ) ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2008/12/17 管理人:かほ