朝のLHR。 担任の銀ちゃんが教室に入ってきたかと思うと、 教卓には行かずに私の隣の席に近づき、その席の男子生徒を上から睨みつけた。 「か〜むい〜。テメー、また他校の奴はっ倒したらしいなぁ。 前にも言ったよなァ?お前の問題は担任の俺に降りかかってくるってよぉ。」 「だって銀さん、アイツ等が先に絡んできたんだよ?」 私の隣の席の神威は平然とそれに受け答えする。 「お前こないだ生徒指導室で不良から脱出するって言ったよなぁ?」 「えー?そんなこと言ったっけ、俺。」 「そろそろ銀さん怒るぞ?クラス替えすんぞ?」 「止めてよそんなの。と一緒に居られなくなるじゃないか。 ねぇ、?もそんなの嫌だろ?」 神威は怒られているというのに悪気のない笑顔で私に話を振ってきた。 『…………別に。』 私はいつもの事なので、特に何に驚くでもなく適当な返事をした。 ぶっちゃけた話、この学校一の不良が、実は私の彼氏だったりします。 泣いていい?【優等生と不良】
「、今から一緒に屋上行こうよ。」 静かな教室に響く声。 特に大きな声を出しているわけでもないが、その声はクラス中に聞こえただろう。 それもそのはず。だって今は――。 『今からって……只今授業の真っ最中なんですけど?』 授業、しかも担任の銀ちゃんの授業の最中にいきなり何を言い出すかと思えば、 華麗なる公開ボイコットのお誘い。 これが一度や二度じゃないんだから、本当に困る。 現にクラスの皆は慣れっこですとでも言うように特に反応を示さなかった。 「だって、授業なんてつまんないもん。」 一応教科書とノートだけは開いている机に(本当に開いているだけ)、 あからさまにつまらなさそうに頬杖を付いて、神威が言った。 「おーい、俺を前にしてよくそんな事が言えたなぁ神威。」 『ほら、銀ちゃん怒ってるでしょ? ちゃんと授業聞かなくてもいいから、教室には居て。』 「えぇ〜?」 『えー?じゃない!』 幼い子供のように口を尖らせる神威に、私は母親のように叱り付けた。 「は屋上来る気ないの?」 『ない。行くなら一人で行きなさい。』 「じゃあ俺も行かない。の横顔見つめてていい?」 『あー、はいはい、いいから黙って座ってて!』 そしてその後いつもの会話をして、一件落着。 一応私はZ組唯一の優等生で通っているので、授業は真面目に聞くほうだ。 「よーし、じゃあ次はサ行変格活用なー。」 銀ちゃんが会話が終わったのを見計らって、授業を再開した。 『(カリカリカリ……)』 「(じ〜)」 『(カリカリ……)』 「(じぃ〜)」 『(…………)』 ニコニコニコニコ……。 横からの視線がめちゃくちゃ痛いのは、私の気のせい? 最初の10分は気にしないでおこうと思って無視してたけど、もう限界だ。 コイツ本当にさっきからずーっと私の横顔見る見つめてるんですけど。 何これ?視姦? 『あぁもう!!そんなにジーッと見つめないで!!!!気が散る!!』 痺れを切らした私は、授業中にもかかわらず神威を怒鳴りつけた。 でもやっぱりZ組。誰一人として驚くものは居ない。 「だってが見ててもいいって言ったんだもん。」 『もん、じゃなぁい!ちょっとは黒板見たら!?ほら、サ行変格活用!』 私はバッと黒板を指差す。 神威はそれに倣いちょっとの間黒板の文字を読んでいたが、 飽きたのかすぐに私に向き直り、そして当たり前のようにこう言い放った。 「あんなもん覚えてどうするの?将来なんの役に立つの?」 『学問を完全否定しないで!!とりあえず、見つめるの禁止!!』 「えぇー?じゃあ一緒に屋上行こうよ。」 『行かないって言ってるでしょ!?』 「じゃあいいよ。もういいよ。俺一人で行って来るから。」 とうとう神威が折れ、拗ねたように言って席を立った。 私はやっと静かに勉強できると思って胸をなでおろしたのだが、 出て行こうとした神威を銀ちゃんが必死に呼び止めた。 「待て待て待て!!お前を野放しにするとまた俺がどやされる!! !お前ちょっとは我慢しろ!!」 『はぁぁ!?何でアタシが怒られなきゃなんないのぉ!?』 酷く心外だったので、私は銀ちゃんに抗議した。 だが、時既に遅し。 私が先生の言う事に逆らえない性質なのを知っている神威は ニコニコした顔でまた私の隣の席に戻ってきて、私を見つめ始めた。 「だってさ、♪」 その笑顔に握り拳を食らわせてやろうかと思ったが、 そんな元気は出てこなくて、私の口からは諦めの溜息だけが流れ出た。私は今日も前途多難です
(、3行目の漢字間違えてるよ) (えっ?あ、ホントだ) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 3Z楽しい!!ひゃっほう! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2008/12/20 管理人:かほ