しょうせつ

『嫌だ!!!ぜぇーったいに一緒に寝ない!!』
「どうしてだよ。何もしないって言ってるじゃないか。そんなに信用できない?」
『出来ない!!!!』
「わぁ、即答するほど信用ないんだ俺って。」

いつもニコニコしている団長が真顔でそう言いショックを受けていた。
これは珍しいもんを見れた、と内心ニヤニヤしていたが、
このバカ2人の言い争いにいい加減イライラしていた俺は、
『おい』と今まで黙っていた口を開いた。

「喧嘩ならヨソでやってくれ。なんならの部屋でもいい。」
『はぁぁ!?何言ってんのよ阿伏兎ブッ殺すよ!?
 そんなのアタシが襲われちゃうじゃないの!!』
「ほら、阿伏兎もああ言ってることだし『絶対に行かないからね!!!!』」

肩を持とうと比較的ゆっくりと近づいた団長から光の速さで飛び離れ、
はベーッと舌を出してそっぽを向いた。
この2人はさっきから俺と団長の男部屋で口喧嘩をしている。

内容は酷くくだらない事だ。
団長が前々から言っていた『と一緒に寝たい』という言葉を、
初めて(そう、初めて)任務に自分から来た団長に免じて、
今日だけ実行しようかしまいかというもの。

勿論あまり団長を快く思っていないは断固反対しているし、
その反面出会ったときからにベタ惚れの団長なんて
『今日こそは力づくでも一緒に寝る』なんて物騒な事を言い出す始末。
正直俺は疲れたから早く寝たい。

「ねぇ、頼むよ。本当に変な事しないから、一緒に寝よう?」
『嫌だって言ってるでしょ!ちょ、止めて、触んないで!!』
「この俺がこんなにお願いしてるのに聞いてくれないが悪いよ。」
『ヤッ、だぁ!抱きつかないで!!いやっ、離してー!!』
「のバカ。」

あぁもう、疲れたオッサンの前でイチャイチャすんの止めてくれマジで。
イライラを通り越して殺意が芽生えるからホント。

「おい団長。アンタを襲いたいんなら
 さっさとの部屋行って、力づくでヤっちまえばいいじゃねーか。」
「うん?そうしようか?」
『はああぁああぁぁぁ!?ブッ殺すよ阿伏兎!!!!』

俺が胡坐をかいているベッドの隣にある、普段団長が使っているベッドの上で、
団長に押し倒されているが凄い剣幕で俺に怒鳴ってきた。
……ちょっと怖い。

「あーあー、分かった悪かった。だったらもう2人ともそこで寝ちまえ。
 団長が変なことしそうになったら俺を起こせばいい。あぁもうそれでいい。」
『えぇ!?ちょまっ……!!!!!』
「電気消すぞ。」
「うん、悪いね阿伏兎。」
『ちょっと待たんかい!!!!ヤダヤダヤダァーッ!!!!!!』

パチッ。
の叫び声など無視して俺は部屋の電気を消した。
そして、念のため引き出しに入っていた耳栓をつける。
隣のベッドの声すらも届かぬように、しっかりと耳に入れた。
あぁ……これで安眠できる。



翌日。
ふと早朝に目が覚めた俺は、恐る恐る起き上がり隣のベッドを見る。
昨夜、若さゆえの過ちが起きていないかを確かめる為だ。
そうして、俺は仲睦まじく寝息を立てているガキの寝顔に微笑し、
二度寝をするためもう一度布団に潜り込んだ。


もう一度目が覚めると、隣のベッドにの寝顔をジッと見ている団長が居た。

「…………アンタ、本気でに惚れてんだな。」
「あれ、阿伏兎起きたの?」
「俺はガキと違って生活リズムが整ってんだよ。」
「あはは、もうジジイだもんね。」
「んだとコラ。」

団長はケラケラ笑って、そしていつもとは違う笑顔での頭を撫でる。

「……ねぇ、さっきの話。」
「あぁ?」
「俺がに惚れてるって話。」
「それがどうした。」
「阿伏兎から見てさ、俺ちゃんとのこと愛せてる?」

急な言葉に、俺はキョトンと団長を見つめた。
俺からなかなか返事が帰ってこないので、痺れを切らした団長が
『ねぇ、どうなの?』と目線はに向けたままで答えを促してきた。

「あ、あぁ……。十分なんじゃねぇか?」
「そっか。」

団長らしくない表情と声色がやけにガキっぽく聞こえて、
俺は不覚にも笑ってしまった。
団長はそんな事お構いなしで依然の頭を撫でている。

「なら、いつかきっと伝わるね。」




俺のこの鼓動の速さ

(ん、んん……あへ、何処ここ) (おはよう。ほら、何もしなかったでしょ?) (か、むい……?あぁおはよう。でもあと5分) (え?ちょっと……!……まぁいいか。幸せだし) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ あれれ、何なんだろう。何だろうこの甘すぎる小説。化学反応? 私の中の神威の人物像がことごとく崩れちゃったぜ……!!!!恐ろしい子!! ってか途中の阿伏兎さんの裏切りようが半端ない。(笑) ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/01/14 管理人:かほ