『ぎゃあああぁぁぁぁー!?』 ある日の正午、春雨艦内にの悲鳴が木霊した。【バカップル注意報】
「どうしたの、!?」 の悲鳴を聞きつけたウチの団長様が、 普段では考えられないほど慌てた様子で声のした部屋へと入っていく。 それを後ろから眺めつつ、俺と云業がのろのろと追いかける。 「団長はの事となるとキャラが変わるからなぁ……。」 云業が呆れた様子でそう言った。 俺も激しく同感だ。団長はに首ったけ過ぎる。 任務に支障をきたさないだけまだマシだが、 と団長のバカップルっぷりは春雨の名物になりつつあり、 それを毎日毎日目の前で見ている俺たちはたまったもんじゃない。 やっとの事で部屋に到着し中に入ると、中では異様な光景が広がっていた。 「……何やってんだ、お2人さん。」 俺は堪らずツッコミを入れる。 異様な光景と言うのはバカップル的に見てそうなのだが、 俺も云業もてっきり団長とが抱き合っているものだと思い、 若干遠慮がちに部屋に入ったのだ。 しかし、声を発した張本人のはガタガタと震えながら ベットの上で猫みたいにうずくまってじっと床を見つめており、 の悲鳴で真っ先に部屋に飛び込んだ団長は 部屋の真ん中で丸めた新聞紙を片手にジッと戦闘体勢を保っているのだった。 これを異様と言わずになんと言おうか。 「ちょ、阿伏兎、部屋の扉閉めて。」 「あ?あぁ……。」 「あんまり動かないでよ2人とも。潰しちゃったら大変だから。」 「団長?一体何をして……。」 俺たちは言われた通りその場から一歩も動かず、 ただ団長とを交互に見るしかなかった。 俺は2人の謎の行動を全く理解出来なかったのだが、 夜兎族3人の中で一番常識人の云業は2人の行動から全てを理解したらしく、 『阿伏兎、もしかしてこれは……』と俺に話しかけてきた。 その時だった。 「居たぁッ!!!!!」 普段では決して聞くことの出来ない団長のハイテンションな掛け声と共に、 団長は持っていた新聞紙をテーブルの近くの床にバシンッ!と叩き付けた。 さすがの俺も、そこで全てを理解した。 あぁ……ゴキブリか。 『ホント!?神威、やっつけた!?』 「うん、やっつけたよ。ほら、ゴミ箱にポイっと。」 『わー!ありがとう神威ー!!大好きぃ〜♪』 ベットの上で震えていたが、ぴょこんと団長に飛びついた。 それを華麗にキャッチして、団長もを抱きかかえる。 「あぁ俺の、怖かったよね。もう大丈夫だから。」 『うん!本当にありがとう神威♪』 「お礼のチューは?」 『ほしい?』 「うん、ほしい。」 『じゃああげる♪大好きだよ、神威ー!』 んちゅーっと、音が聞こえてきそうなほど熱く口付ける2人には 俺たちが全く視界に入っていないのだろうか。 いや、それはないよな。 だって俺たちが入って来た時、団長と会話した記憶があるのだから。 俺と云業は気まずさに顔を見合わせた。 そして、このまま黙って部屋を出る事を決めた。 「……今夜は俺、任務ないんだ。」 『ホント?じゃあ今夜は一緒に寝る?』 「今からでもいい?」 『やん、神威のエッチー。』 俺はそんな会話を聞きつつ、電気を消して部屋を出た。 我ながら相当気配りの出来る人間だと思う。 そして云業ともう一度顔を見合わせ、 部屋の扉に『バカップル注意』と書いた紙を張って各々部屋へと戻る事にした。 この張り紙がある部屋ではそういう事が繰り広げられているので、 暗黙の了解として春雨の者は誰も近付かない。 以前うっかり入ってしまった者が殺されてしまったので、 これ以上の被害者を増やさぬ為にも、と俺と云業が考え出したのだ。 そして今夜もまた、ある一室が張り紙によって隔離された。 「、大好きだよ。愛してる。」 『や、神威……アタシも好き……!』バカップル注意報
(阿伏兎、俺、いざって時のために張り紙を書いて持ち歩いてるんだ) (……云業お前、そういうトコA型だよな) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 某所で『神威甘々夢』とリクエスト頂いたもの。 ……甘々かコレ?ギャグじゃね?単なるギャグじゃね?? ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/02/08 管理人:かほ