まるでそれは光り輝く太陽のごとく死体達に寄り添い、 無駄だと分かっていながらも尚その手を止めなかった。 それを自分のこの手で阻止することも壊すことも容易かったのだが、 その光り輝く少女は生命活動を止めるにしてはあまりにも興味深い存在だった。 太陽が嫌いな俺達にとってその光り輝く様は太陽と同じく天敵と成りえるだろうと思ったが、 いかんせん、その光はあまりにも自分にとって心地よすぎた。 「ねぇ、君、名前は?」 『……ッ!!!!』 その少女はキッと俺を睨みつけると、 諦めたのか死体にかざしていた光と手を引っ込めて立ち上がった。 「今の光、何?君もしかして治癒能力がある天人?」 『…………。』 少女は強く強く俺を睨み終えると、ふんっとそっぽを向いてその場を立ち去ろうとした。 させまいと急いで駆け寄り、自分らしくもなく焦って握った手首がミシミシと音を立てた。 少女は痛みに顔を歪めたが、また俺の方を向いてくれた。 あぁ、なんて可愛らしい顔なんだろう。睨まれたらゾクゾクしてしまう。 とてもイイ顔をするじゃないか。 ニコニコと少女を見つめていたら、少女が観念したように声を発した。 『……炬叉鬼族、。』 「炬叉鬼……?って、あの炬叉姫族?」 破壊すれば鬼神の如く“破壊神”と化し、 治癒を任せば女神の如く“癒姫”と化す、今や伝説となっている部族だと聞いている。 なるほど、コイツが今回この小さな田舎の村が春雨のターゲットになった理由か。 通りで元老と阿伏兎が口煩く失敗するなと言うわけだ。 「、俺と一緒に来なよ。」 『その言葉は村人を殺し終わる前に村人の命と引き替えに言ってほしかったわね。』 俺が尚も笑顔で言うと、は臆することなく俺に毒づいた。 本当に面白いお姫さまだな。 「それは気が回らなかったな。悪かったね。」 『もぅいいわ。村人はもぅ戻ってこないもの、一緒に行ってあげる。』 はミシミシと音を立てていた手首を振り払い、手を差し出し、こう言ってきた。 『勿論、エスコートしてくれるんでしょうね?』俺流のエスコートだけどね、お姫さま
(さ、早く行くよ) (貴方の名前は?) (神威。好きに呼んでいいよ) (かむちゃん) (……それは止めて) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 炬叉姫族は『こさきぞく』と読みます。 えぇ、創作ですが何か?← ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/07/26 管理人:かほ