しょうせつ

『あれ?銀時ぃ、神楽ちゃんと新ちゃんは?』

自宅(スナックお登勢)から歩いて約10秒ちょいの仕事場に到着したアタシは
いつも可愛く出迎えてくれる愛らしい姿がないので不思議に思い、
雇い主であり家の主である髪の毛モジャ男に尋ねてみた。
するとモジャ男は「んー?」とジャンプを読みながら生返事を返してくる。

「アイツ等なら買いもんだ。今夜のおかず買いにー。」
『はぁ?買い物くらいアンタが行きなさいよー。』

パラパラとジャンプを捲る銀時にそう文句を言いながら、
アタシはとりあえずソファに座ってテレビの電源をつけた。
そしたらたまたまお昼のニュースが画面に映って、
最近噂になっている誘拐事件について、三々野アナが現場でリポートしていた。

『あらあら、また誘拐事件だってさ。神楽ちゃん大丈夫かな?』
「神楽なら逆に犯人逮捕に貢献するだろ。」

あぁ、夜兎族だからね……。
銀時の言葉に妙に納得してしまい、返り討ちにされる犯人を想像してしまった。

『じゃあアタシが危ないな、アタシ可愛いから。』
「お前は大人しく襲われるようなタマじゃねーだろ。」
『何でよ!アタシは夜兎族じゃないもん!か弱いもん!
 今銀時に押し倒されても抵抗できないくらいか弱いもん!』
「どこがか弱いんだ戦場の暗殺者が!!!」

銀時の失礼な発言にアタシが膨れっ面で反論すれば、
ガタンッとジャンプを机に置きながら銀時がそう言ってきた。

『ちょっ、その名前で呼ばないで!!アタシそれ嫌いなんだから!』

戦場の暗殺者とは攘夷時代に勝手につけられたアタシのあだ名。
別に暗殺なんてしてなかったんだけど、
身軽なアタシが音もなく戦っているところからその名がついたらしい。
いや、そもそもアタシあんまり戦ってなかったからね、
ほとんど医療班として活躍してたのに、そっちのあだ名は聞いたことがない。
ホント男ってのは野蛮なトコしか見てないよね。
戦場の暗殺者より戦場の天使みたいなあだ名の方がよっぽどマシだっつの。

「じゃあ今からお前の事押し倒すから、テメー抵抗すんなよ!」
『はぁ!?何言ってんの!?バカなのお前!』
「何だよ!テメーが押し倒されても抵抗できないって言ったんじゃねーか!」
『言ったけどするよ!抵抗くらいするよ!当たり前でしょ!?』

アタシが昔の事を思い出して若干腹が立っていたところに、
銀時がバカなことを言ってさらに追い討ちをかけてきた。
これには温厚な(そう、普段は温厚な)アタシもつい熱くなってしまい、
バッとその場に立ち上がり、銀時に向かって臨戦態勢をとった。

「か弱い女はこれくらいの冗談で拳を構えたりしねーよバーカ!!」
『うるさい!銀時の目が本気だからだっつの!いやらしい!』
「いやらしいとか言うな!せめてエッチって言え!」

アタシの言葉に銀時がその場でガタンッと立ち上がった。

『はぁ!?同じような意味じゃないの!』
「全然違うじゃねーか!!
 俺はエッチとスケベといやらしいだったらエッチって呼ばれたい!」
『はぁぁ!?意味分かんない!銀時キモい!』
「キモいとか言うな!!」

ピーンポーン

いつの間にか口喧嘩に発展してしまったアタシ達の言葉を遮るように、
玄関からいきなりチャイムの音が聞こえてきた。

『何?お客さん?』
「ちょ、お前出ろよ。」
『はぁ?何でアタシが!いやらしい銀時が行けばいいでしょ!』
「テメェまた言いやがったなコノヤロー!!!」

売り言葉に買い言葉で、
チャイムの音を完全にスルーしてアタシ達の口喧嘩は再開した。




突然の訪問者

(っつーか俺ん家チャイムあったっけ!?) (細かい事は気にするな!男だろーが!) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ ほら、良くあるじゃないですか。 何も考えずに書いてたら連載の中で設定グチャグチャとか。← だからいっそ書き直して統一しちゃおうって魂胆です。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/10/24 管理人:かほ