しょうせつ

そもそもが自分のことを『か弱い』とか言うから悪ぃんだよ。
俺は別に変なこと何も言ってねぇのに、
が急に『いやらしい』なんて言うもんだから、
ちょっとばかしヒートアップしちまったっつーか、完全にそんな感じだ。
だから俺は悪くない!銀さん悪くないよ!

「だからテメーが出やがれ!」
『嫌!!!銀時が出ればいいでしょ!ここのオーナーなんだから!』
「てめっ、そーゆー時だけ俺を頂点みたいに言うんじゃねーよ!
 じゃあ俺が出るから今度から俺の言う事に従えよ!」
『お断りしますー!誰がアンタの言う事なんか聞くもんですか!』
「ほれみろ!結局それじゃねーか!!」

ピーンポーン

俺たちが言い争っている間にもチャイムの音は鳴り続ける。
って言うか本当に俺ん家チャイムとかあったっけ?
そんな事を考えていたら、急にが隣の部屋に逃げようとしやがったので、
俺は慌てての手首を掴み、動きを封じた。

『テメッ、何すんだコラ!』
「それはこっちのセリフだ!!自分だけ逃げようとしてんじゃねーよ!」
『もうこのまま銀時が向こうまで行っちゃえばいいじゃん!
 ここはお互い大人になろう、銀時が大人になろう!』
「俺しか大人になってねぇじゃねーかァァ!!!!」

ピーンポーン、ピンポンピンポーン

そんなバカな言い争いをしている間にも勿論チャイムは鳴り続ける。
鳴り続けるどころか奴さんそろそろイライラしてきている!
明らかにチャイムを連打している!怒っている!
このままじゃ帰っちまうか怒鳴り込んでくるか、二つに一つだ。

「よし分かった!ジャンケンで決めよう!
 どっちが出るかジャンケンで決めれば文句ねぇだろ!」
『嫌よ!銀時アタシが油断した隙に自分だけ逃げるつもりでしょ!』
「バッカテメェ!俺が信じられねぇって言うのか!」
『信じられないよ!だって白夜叉だもん!銀時だもん!』
「それどういう意味!?ピーンポーンピーンポーンピーンポーン

「ほらちゃん聞いて!?三連打だよ!?
 お客さん明らかにイライラしてるから!帰っちゃうからコレ!!」
『依頼もお金もほしいけど、このまま出たら負けた気がするからヤだ!』

ピンポンピンポンピンポンピンポーンテメェいい加減にしろよ!!今どんだけ金欠だと思ってんだ!!」
『そんなの家計簿つけてるアタシが一番分かってるわよ!
 あっ、ヤベッ、思い出したら涙が……。』
「え!?そんなに酷いの!?ウチの家計そんなに酷いの!?」
『分かった……ここはアタシが大人になって出るよ……。』
「ねぇちゃん!?ウチの家計どんだけ酷いことになってんだよ!!ねぇ!?ドゴォン!!!!


俺がの態度に万事屋の家計を真剣に考え始めた時、
突然の凄まじい破壊音と共に俺達がいる部屋まで玄関の扉が吹っ飛んで来た。
扉はガシャアン!と壁に打ちつけられて崩れ去っていく。
その光景に、俺もも一気に冷静になった。




そりゃいのはこっちだけど……

(まさかそんなに怒るなんて……ねぇ銀時) (あぁ……衝撃の展開ってやつだな……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 万事屋の家計の事を考えると涙が出る家計簿係。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/10/24 管理人:かほ