しょうせつ

俺は今しがた団長が破壊した玄関を見ながら頭を抱えた。
おいおい、こんなにハデなことして、面倒な事になったらどうするつもりだ……。
別に俺は弁償代とかそんなケチくさいこと言ってんじゃねぇんだぞ。
この騒ぎを聞きつけて警察だの真選組だのが来たら
一体どうするつもりだって言ってんだよ、オイ聞いてんのかすっとこどっこい!

なんて、言えたら非常にスッキリするのだが、
あいにく今の団長にそんな説教たれる勇気は俺にはない。
そんなわけで、壊れた玄関から部屋の中に入っていく団長の後ろを、
黙って頭を抱えたままついて行くことしか俺には出来なかった。

「随分楽しそうな声が聞こえたけど、俺に喧嘩でも売ってるのかい?」

いつもの笑顔で部屋に入りながらそう言う団長に、
中に居た銀髪の侍と例の半分天人の女はこれでもかという程口をあんぐりと開けた。
それと同時に目も思いきり見開かれる。
まぁ無理もねーわな。ついこの間、敵同士として出会ったばっかりなんだから。

『ぎ、銀時……!アイツ……!!』
「テメェ、こんな所に何しに来やがった!!」

銀髪と女はさっきまで言い争っていたはずなのだが、
団長の姿に身の危険を感じたのか、銀髪が女を守るような形で俺たちを睨みつけた。
男が女を身を挺して守るなんていい話じゃねぇか。
俺は別に構いやしねぇんだけどよぉ、ちょっと今は勘弁してくれるかな。
団長の負のオーラがどんどん増量しちゃってるから。
笑顔の中にどんどん殺気が盛り込まれていっちゃってるから。

「やぁ、お侍さん。また会ったね。でも今日はお侍さんには用はないんだ。」
「何だと?テメェ、一体どういうつもりだ。」
「どうもこうもないよ。俺はただ、に会いに来ただけなんだ。」
『えっ!?アタシ!?』

急に名前を呼ばれた女(そう言えばって名前だっけか)が
非常に驚いた顔をして一瞬体を震わせた。

『ゴ、ゴメンなさい!!もしかして吉原でこのハゲって言ったの怒ってる!?』
「はぁ!?お前いつの間にそんなこと言ったんだよ!」
『あのっ、銀時たちが鳳仙さんと戦ってる時に、
 兎の上でね、ちょっと喧嘩になったって言うか……。』
「何してんのお前ェェ!?何勝手にラスボス怒らしてんのォォ!?の予想外の発言に銀髪の侍が大声で叫び始める。
その様子を無反応で眺め続ける団長の姿に、
何故か俺の方が冷や汗をかき始めてしまった。

あの女、団長に向かってハゲなんて暴言吐いてたのか……。
もし団長に気に入られてなかったら一瞬であの世逝きだぞ。
そして団長も何でそんな女を気に入ったんだ……
まさか隠れM?いやいや、団長に限ってそんなことは……。

『そっ、それとも鋼のお兄さんって言ったこと怒ってる?
 それとも日○ちゃまって言った事怒ってる?それとも……!』
「ちゃんお願いだから今すぐ土下座してぇぇ!!
 あのおっかないお兄さんに土下座して!心の底から謝ってぇぇ!!」

どんどん出てくる失言のオンパレードに、とうとう銀髪の侍が涙目になってきた。
あと少しでもが発言すれば自分が土下座してしまいそうな勢いだ。
で吉原での出来事を必死に思い出しているようで、
さっきから冷や汗がボタボタと流れ落ちている。

「だ、団長……。」

俺はさっきから完全に無反応な団長に声をかけた。
さっきから笑顔のまま固まっちまってるんだけどこの人。
何考えてんのかサッパリ分かんねぇよこの人。
もしかして腸煮えくり返ってんじゃねぇかと俺が心配していると、
やっと動いた団長の口から信じられない言葉が転がり出た。

「あはは、やっぱりは面白いね。それでこそ俺の嫁に相応しい女だよ。」

この言葉に、俺とと銀髪の時が止まった。




ワン モア プリーズ?

(え?何々?アイツ今何て言った?嫁?) (いやいや違うよ銀時、空気読めって言ったんだよ) (あーなるほど、空気嫁ね……) ((ええぇぇぇ!?)) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ ○野ちゃまは完全に趣味の範囲です。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/10/24 管理人:かほ