しょうせつ

「テメッ、いきなり何しやがんだ!!!!」
『それはこっちのセリフよ!何よいきなり脱げって!!いやらしい!!』
「いやらしいって言うんじゃねぇよ!!
 俺ぁ別にテメーの裸見たいわけじゃねぇからな!勘違いすんなよ!!」
『んだとコラ!!アタシの体はものっそいんだぞナメんな!!』
「知らねぇよそんなこと!!とりあえずアレだ、俺はなぁ、
 お前が脱いだらあのバカがすっ飛んで来るんじゃねぇかと思ったんだよ!!」
『んなわけねーだろーが!やっぱお前バカな!バカ丸出しな!』

さんにバカな事を言って華麗に吹っ飛ばされた銀さんは、
腫れあがる頬を片手で押さえながらさんと口喧嘩をしていた。
その様子に阿伏兎さんは呆気にとられていたけど、
僕と神楽ちゃんはこんなの日常茶飯事なのであまり驚かなかった。

「こりゃあの団長が気に入るはすだ……。」

銀さんの胸倉を掴んで怒鳴るさんの姿に、阿伏兎さんがそう呟いた。

「神楽ちゃんのお兄さんって、気の強い女性が好きなんですか?」
「さぁな。あの人から女の話なんて聞いたことねーよ。
 あの人はただ飯と戦いさえあればそれでいいと思ってる人だ。
 まぁ、それはに会うまでの話だがな。」

阿伏兎さんは肩をすくめながらそう言った。
なんだか、お兄さんの方も思ってるほど怖い人じゃないのかもしれないな。
吉原であった時は敵同士だったから当然かもしれないけど、
もっと人間っぽさがない人だと思ってた。

いや、さっき阿伏兎さんも言ったように、
さんに興味を持ったから人間らしい感情も芽生えてきたのかもしれないけど、
それでもやっぱりイメージが180゜くらい変わったかな。
実際に会ってみるまで分かんないけど。

「あの人が今最も興味のあるものはだ。
 だから絶対に団長は地球に居る。これだけは間違いねぇ。」
「そ、そんなに真剣なんですか?神楽ちゃんのお兄さん。」
「いや、真剣かどうかは分からねぇが、本気なのは確かだ。」

阿伏兎さんは自信満々でそう言い切った。
どうやらお兄さんはよっぽどさんのことを気に入っているらしい。
その言葉に隣に居た神楽ちゃんがムッキーと言いながらその場で立ち上がり、
顔を真っ赤にして怒りながら地団太を踏んだ。

「やっぱりムカつくネ!!
 銀ちゃん!遊んでないでさっさとあのバカ兄貴を捕まえるアル!
 とっ捕まえてボコボコにして二度とに近づかないようにするネ!!」
『えぇっ!?ちょっと神楽ちゃん!もっと穏便に対処しようよ!』
「そうだぞ神楽。俺は返り討ちにあうのはゴメンだぜ。」
「情けないアルなぁ!見損なったネ!!」

銀さんとさんに止められて、神楽ちゃんは悔しそうに足をバタバタさせた。
本当に神楽ちゃんはお兄さんの事が嫌いなんだなぁ……。
いや、本当はまた仲良くしたいと思ってるんだろうけど、
吉原でいきなり攻撃されたりしたし、色々と複雑なんだろうな。

「別にあの人をどうしようと構いやしねぇが、
 ここに居ないとなると、お前さんたちに仕事を依頼しなきゃなんねーな。」
『え?仕事?』

ソファに座りながら溜息混じりに言った阿伏兎さんの言葉に、
さんと銀さんがガッツリ反応した。

「オイ万事屋、あのバカを探し出してくれ。報酬なら春雨が払う。」
「えっ、マジ!?ちゃんとした仕事の依頼!?」
「あぁ。しっかり働けよ。」
『やったぁ!銀時仕事だよ!久々の仕事だよー!』
「久々とか言うんじゃねぇよ!でもやったな!」

本当に久々の仕事に、さんと銀さんはハイタッチをして喜んでいた。
ここんとこ暇すぎて家計もキツいってさん言ってたからなぁ。
しかも仕事の内容が知り合い(?)を探す事なんて、とても楽な仕事だ。
神楽ちゃんのお兄さんの事だから、きっとどこかで騒ぎを起こしているに違いない。
いざ町に繰り出せば、サクッと見つかっちゃうかも。

「よし!そうと決まればさっそく行くぜ!」
『おー!』

報酬をもらえると知った瞬間急に元気になった銀さんは、
まるで虫取りに行く小学生の如きテンションでそう言って立ち上がった。
さんも玄関に歩いていった銀さんの後に続こうとその場に立ち上がる。
僕もよっこいせと腰を浮かせて2人の後を追おうとしたのだが、
神楽ちゃんだけは棒立ちのまま銀さんとさんに声をかけた。

「で?バカ兄貴は何処に居るアルか?」
「『…………。』」

神楽ちゃんのその言葉に、さんと銀さんは再び着席した。




迷惑兄さん捜索難航

(え?もしかして考えなしに行動してたんですか?) (うん……ねぇ新ちゃん、もしかしてアタシ達って馬鹿なのかな……) (馬鹿だな。お前等は本当に馬鹿だ) (ちょ、みなまで言うなよオッサン。俺たち傷つくから) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 再執筆で大きく変わったのは、ちゃんの性格が一貫しているところです。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/11/06 管理人:かほ