「おいオッサン、アイツの行きそうな場所とか分かんねーのかよ。」 銀さんは愛用の机に座りながら阿伏兎さんに話を振った。 するとソファに座ってお茶を飲んでいた阿伏兎さんが呆れたように言葉を返す。 「俺はのところに居ると思ったからここに来たんだ。 それ以外あの人が行きそうな場所なんか皆目見当もつかねーよ。」 「チッ、使えねーなぁ。」 阿伏兎さんの言葉に、銀さんは頬杖をついてそう言った。 神楽ちゃんのお兄さんの捜索を阿伏兎さんから正式に依頼されたはいいけど、 その肝心のお兄さんが行きそうな場所が全く分からないので 僕達はまだ万事屋でグダグダしていたりする。 町に繰り出して探そうにも、あの人春雨の団長だから大それた探し方は出来ないし、 阿伏兎さんも出来る限り秘密裏に探し出してほしいと言っていた。 「アイツの事ネ、道端に酢昆布でも置いてたら匂いに釣られて飛んで来るアル。」 『そんな神楽ちゃんじゃないんだから。 それに阿伏兎さんが言ってたでしょ?神威はご飯にも女にも興味ないって。』 「だからお前にだけは興味津々だっつってんだろーが。いい加減に認めろ。」 『なっ、何言い出すんですか急に!!』 「さん、顔が真っ赤ですよ。」 『うるさい!ダ眼鏡は黙ってろ!!』 「なっ!?酷いですよさん!」 さんのまさかの一言に、僕は心底驚いた。 普段から僕と神楽ちゃんを自分の子供のように可愛がってくれているさんが、 まさか僕をダ眼鏡呼ばわりするなんて……コレはかなり動揺している証拠だ。 そう言えば、さんって結構モテるし告白もされてるけど、 こんな風に強引に迫られた事ってないんじゃないかな。 しかも相手はあの神楽ちゃんのお兄さんだ。 あんまり覚えてないけど、確か結構イケメンだった気がする。 さんも美人だし、結構お似合いなんじゃないだろうか。 「だーくそ!ここに居ても埒が明かねぇ!テメー等、外行くぞ外!」 全然進まない展開に痺れを切らした銀さんが ガタッと席を立ってドスドスと玄関の方に歩いていった。 『ちょっと銀時!外行ってどうするのよ!?』 「手当たり次第に探すんだよ! アイツのことだ、きっとどっかで騒ぎでも起こしてるだろ!」 「おいおい勘弁してくれよ……もしそうなら俺は気づかないフリして帰るぞ。」 「何言ってるアルか!あのバカ兄貴をとっとと連れて帰れヨ!!」 そんなわけで、僕達はとりあえず外に出てお兄さんを探すことにした。 とは言ったものの、お兄さんの行きそうな場所が分かったわけでもなく、 僕達はさっきから颯爽と前を歩いている銀さんについて行っているだけだった。 一体何を思って歩いているのか、銀さんは何故か自信満々に前へ進んでいる。 「よし、ここで聞き込みだ。」 銀さんがザッと無駄にカッコつけて立ち止まった先には一件のキャバクラが。 次の瞬間、さんの華麗なバックドロップが銀さんにクリティカルヒットした。 「ってぇな!!!何しやがんだ!!」 『それはこっちのセリフだ!!!!真面目に探せバカヤロー!!!』 「バカはテメェだ!! ここはなぁ、歌舞伎町中の情報が集う秘密組織なんだよ!!」 『マダオが集うフェアリーテイルの間違いだろーが!!!!』 華麗に仕事を放棄した銀さんにお説教を喰らわせるさんを見て、 またもや阿伏兎さんが呆気にとられていた。 まぁ例によって僕達は驚かなかったけど、慣れって怖いなぁと改めて感じた。 「ちょっと銀さん!さん!今は仕事中ですよ?」 『そうよね!!もっと言ってやって新ちゃん!! このマダオに真面目に仕事しろよって言ってやって!!』 「んだとコノヤロー!!」 ドガァァァン!!!!! 僕が喧嘩する2人を止めていると、急に往来の方から大きな爆発音が聞こえてきた。 流石にこれには僕も銀さんもさんも神楽ちゃんも驚いたけど、 阿伏兎さんだけは平然とした態度で音が聞こえてきた方に振り返る。 どうやらこの人たちにとって爆発は驚くほどのものではないらしい。 阿伏兎さんの反応に、僕は改めてこの人は宇宙海賊なんだと実感した。 「何だ?団長か?」 『いや……アレはきっと真選組です。』 「真選組?」 さんの口から出てきたまさかの言葉に、阿伏兎さんが怪訝な顔をした。 「おーおー、また何かやらかしたのか?主に沖田君あたりが。」 「あのサディストなら十分ありえるネ。」 そんな事を話しながら、僕達は大騒ぎになっている往来へと足を運んだ。迷惑兄さん発見未遂
(オイ、真選組って地球の警察じゃなかったのか?) (あぁ、アイツ等はテロリストみたいなもんですよ。過激なんです) (そーゆーもんなのか……) (ちょっとさん、誤解を与えるような知識を教えないで下さい) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 春雨って真選組のこと知ってるのかな? ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/11/06 管理人:かほ