「ねぇ、この話の主人公である俺を放っとらかして君たちは一体何をしてるの? 俺が居なきゃ話が成立しないじゃないか。 それを丸々7話も俺を放置して勝手に話を進めちゃってさぁ。 阿伏兎も銀さんも俺が居ないのをいい事にとイチャイチャしてるし……。 の言葉がなければ嫉妬のあまり全員皆殺しにしてるところだよ。」 触覚バカヤローは腕を組んで仁王立ちという なんともお決まりのポーズで俺たちを見下ろしながら笑顔でそう言い放った。 あの後、多串君に支障がない程度で軽く事情を説明し、 新八と神楽を先に万事屋に帰して俺たちは車に乗って真選組屯所までやって来た。 そしてこのバカが居る部屋に案内されて襖を開けた次の瞬間、 オレンジ色の物体にオッサンが華麗に飛び蹴りを喰らわされた。 「な、何しやがんだ!!」 「遅い。」 オレンジ色の触覚を揺らしながら、 このバカは平然と、なんの悪びれもなくそう言い放った。 これには俺もも言葉を失い、 ついでに多串君と沖田君と、屯所で待っていたゴリラも言葉を失った。 散々人に迷惑かけた挙句「遅い」ってどーゆーことだコノヤロー。 あまりにも身勝手で傍若無人なその態度に、 ちょっくら銀さんの鉄拳をお見舞いさせてやろうかとも思ったが、 触覚バカの表情があまりにも真剣そのものだったので止めておいた。 いや、別にビビったとかそんなんじゃなくて、空気を読んだだけだから。 「君たちそこに正座」とか言ってる触覚バカに何も言い返さず素直に従ったのは 別に触覚バカが怖かったとかそんなんじゃなくて、 ここで俺が怒ったら話が進まないと思っただけで、別にビビってなんかないから! そんなこんなで俺たちは部屋の中に正座をさせられ、 只今理不尽な説教の真っ最中なのであった。 ちなみに前の列は俺とオッサンで、 後ろには完全に巻き込まれてしまった多串と沖田君とゴリラが座っている。 は触覚バカの隣でこの理不尽な状況に呆然と立ち尽くしていた。 「何とか言ったらどうなんだい?」 極上の笑顔が何故か恐ろしい触覚バカが静かにそう言った。 ったく何なんだよこの展開。 俺たち全然悪くねぇじゃねーか。むしろ悪いのは全部この触覚バカじゃねーか。 それなのに何で俺たち正座させられた挙句コイツに怒られてんの? こんな事になるなら沖田君に三つ編みさせてオッサンにお帰り願えばよかったぜ。 破壊的な性格も憎たらしい顔も瓜二つじゃん、双子の如きそっくり感じゃん。 春雨の奴等全員騙せる自信あるよ銀さん。 前世きっとカリスマスタイリストだったからね銀さん。 「まぁ……ほら、アレだよ。主人公だって時々出てこなくなるじゃん。 アレと一緒だよ。修行編、みたいな?死神編、みたいな?」 「銀さんは黙っててよ。俺ブリーチの登場キャラじゃないし。」 俺がフォロー(?)するために口を開いたら、 触覚バカはギロリと俺を睨んで目だけで圧力をかけてきた。 その重圧に俺の体からは冷や汗が流れ出し、オッサンは深い深い溜息をついた。 「元はと言えばアンタが勝手に出て行ったのが悪いんだろーが。」 「そんなの日常茶飯事だろ。迅速に対応出来なかった阿伏兎が悪い。」 「開き直るんじゃねーよ!今回は完全にアンタが悪いからな!!」 賞賛に値するほど自信過剰な触覚バカの言葉に、 オッサンは呆れながらも会話を成立させていた。 流石はオッサンだ。俺だったら2秒でブチ切れる自信がある。 『ちょっと神威!さっきから聞いてりゃお前は何様だ! 阿伏兎さんアンタを探してくれてたんだから、お礼くらい言いなさいよ!』 触覚バカの横暴な態度にとうとうが怒鳴った。 しかし、触覚バカはの顔を見て不思議そうに小首を傾げる。 「何で俺が阿伏兎に礼を言う必要があるの?」 『当たり前でしょ!?わざわざ地球まで探しに来てくれたんだから!』 「それは部下として当たり前のことだろ?」 『はぁ!?アンタいい加減にしなさいよ!? そんなことばっかり言ってたら、アタシあんたと二度と口利かないから!!』 どこまでも自分勝手な触覚の態度には本気で怒りながらそう言った。 すると触覚はジッとを見つめたまま黙り込んでしまった。 の表情は真剣そのもので、若干イライラしてきている。 触覚バカはと言うと、はっきり言って表情がまるで掴めない。 あれは真顔なのか?それとも怒ってんのか? 普段が作ったような笑顔なだけに、普通の表情がなんだか変な感じだ。 もしかしたら自分の思い通りにならないに苛立っているのかもしれない。 これは先が読めなくなってきやがったぞ。 俺としてはこのままに興味を失くし、さっさと宇宙へお帰り願いたんだけどなぁ。迷惑兄さん恋の終わり?
(近藤さん、何で俺たち正座してるんですかィ?) (いや……俺にもさっぱり分からん) (一体何なんだコイツ等……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 神威の想いは本気なのかどうなのか! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/11/07 管理人:かほ