『アンタいい加減にしなさいよ!? そんなことばっかり言ってたら、アタシあんたと二度と口利かないから!!』 のその言葉に、触覚バカは真顔で黙り込んだ。 怒っているのか苛立っているのか悲しんでいるのか、俺には皆目分からない。 それはオッサンも同じだったようで、 黙り込んでと対峙している触覚バカを緊張しながら見つめていた。 もしかしたらコイツ、急にに襲いかかるかもしれねーな。 いや、襲い掛かるって別にエロい意味じゃなくて。 俺の思い通りにならない奴は邪魔なだけだとか何とか言いながら、 いきなり攻撃仕掛けてきそうじゃね?コイツ。 そんな俺とオッサンの心配を見事に裏切って、 触覚バカは「はぁ、」と一度溜息をついたかと思うと、 降参だ、とでも言いたげに両手を上に挙げた。 「分かったよ。俺の負けだ。にそこまで言われちゃ仕方がないな。」 意外にも、と触覚の勝負はあっさりの勝利となった。 さっきが二度と口を利かないと言ったのがよっぽど堪えたのか、 あの自信過剰で自己中心的な触覚バカが徐にオッサンの方の顔を見て、 棒読みに近い言い方ではあったが、 ハッキリとした口調で一言「探しに来てくれてありがとう」と言った。 「き、気色悪ぃ……!!」 予想外の出来事に、オッサンは顔を歪ませた。 そんな反応は予想の範疇だったのか、触覚バカはすぐにの方に向き直り、 「これでいいの?」と不服そうに尋ねた。 するとは本当にお礼を言うなんて思って居なかったのか、 一瞬意外そうに目を瞬かせていたが、すぐにパァッと笑顔になった。 『神威、やれば出来るんじゃん!アタシもっと酷い性格だと思ってた。』 「吉原の一件だけで俺を判断するなんてとんでもない暴挙だよ。 俺は根は優しくて一途でいい奴なんだからさ。」 『その言葉は完全に否定するけど、でも見直した。』 「惚れた?」 『人の話聞いてた?見直したって言ったんだけど。』 全然会話が噛み合っていない2人に、俺とオッサンは溜息をついた。 人を散々引っ掻き回した挙句、理不尽に説教までされたが、 のおかげでなんとか事が丸く収まりそうだから全部水に流してやるか。 「じゃあ俺たちはこれで帰らせてもらうぜ。」 「あ、あぁ……手間をかけたな万事屋。」 こうして俺たちは何とかコイツ等の正体を隠し切ったまま真選組を後にした。 あとはこの触覚バカをオッサンに連れて帰ってもらい、 後日俺の口座に報酬を振り込んでもらえば万事解決だ。 俺は久々の仕事を無事成し遂げたことに満足し、 ふわぁとあくびをしながら思いっきり伸びをした。 「そうだ、。」 『ん?何?』 帰宅途中、触覚バカが徐にに話しかけた。 「さっき俺、の言うことちゃんと聞いただろ? じゃあ今度はが俺の言うこと聞いてよ。」 『はぁ!?何そのお決まりの展開! 絶対に嫌なんですけど!変なフラグが立ちそうなんですけど!!』 いきなりの触覚バカの発言に、は冷や汗をかきながら反論した。 しかしコイツが発言した時点で既に変なフラグは立っている。 史上最悪の嫌な予感に、俺とオッサンは顔を見合わせた。 「俺をしばらく万事屋に置いてよ。まぁ断られても居座るけどね。」 にっこりと何の迷いもない笑顔が俺たちに襲い掛かる。 隣から聞こえてくるオッサンの溜息がなんとも言えず哀しかった。 『はぁぁ!?何言ってんのお前!バカなの!?頭悪いの!?』 「ほら、よく言うだろ?やられたらやり返す、してもらったらしてあげる。」 『何正論みたいな事言ってんの!?初耳なんですけどそんな教訓!!!』 のツッコミも虚しく、触覚バカはすっきりとした顔で再び歩き始めた。 どうやら今のは提案でも質問でも何でもなく、 ただ奴の中で決定していたことを俺たちに報告しただけのようだ。 そんな触覚バカの横暴な態度に、流石のも言葉を失ってしまっていた。 「オイオイ、ちょっと待てよ。万事屋のオーナーはじゃなくてこの俺だぞ。」 が反論できないと判断した俺は、すかさず触覚バカにツッコんだ。 すると触覚バカはキョトンとした顔で俺を振り返り、言葉を返す。 「別に誰でもいいよ。どうせ断らせないんだから。」 「そうはいかねぇな。そもそもお前、神楽はどうすんだよ神楽は。 お前のこと超嫌ってんだぞアイツ。一緒に生活できると思ってんのか?」 「と一緒に居られるなら、神楽と和解でも何でもしてあげるよ。」 サラッととんでもない事を言った触覚バカに、俺たち3人は同時に言葉を失った。迷惑兄さん本気の恋
(おいおいマジかよ……団長が、今なんて?) (え?何コレどういう展開?もしかして最終章突入しちゃう感じ?) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 最終章って何?最後に【完】とか出ちゃう感じ? ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/11/07 管理人:かほ