しょうせつ
と一緒に居られるなら、神楽と和解でも何でもしてあげるよ。」

その後の出来事は、本当に風の如く去っていった。
神威のまさかのプロポーズにの心が撃ち抜かれ、
数年後、2人は地球で式をあげて結婚することとなった。

新八も2人の結婚を心から祝福し、
春雨で神威と一緒に暮らすこととなったを涙ながらに見送った。
神楽はというと、神威に今までの事を謝られ、
今後は本当の兄弟らしく、お互い支えあって生きていこうと言われて和解した。
今では手紙でやりとりをするほどの仲の良さだ。

そうそう、先日俺のところに宇宙メール便で一通の手紙が届いた。
そこには見慣れたの字で「またお祝いしてね」と書いてあり、
一緒に入っていた写真には
生まれたばかりの赤ん坊と一緒に写っている幸せそうな神威との姿があった。

「あはは、この子神威さんにそっくりですね。」
「何言ってるネ。にそっくりの美人アル。」
「こりゃ将来が楽しみだなぁ。」

神威には吉原で出会って以来散々な目に遭わされてきたが、
こうしてを幸せにしてくれんだ、全部水に流してやるか。
俺たちはしばらくその写真を眺め、3人同時に笑いあった。





嫁になれ 完……あれっ、ちょっ、終わっちゃいましたけど。」
「あー良かった良かった、ハッピーエンドじゃねーか。」
「いやいや、全然良くないですよ!!!何勝手に終わらせようとしてんですか!!!!」
「あぁん?もういいだろコレで。
 触覚バカはのおかげで人間らしさを取り戻して、
 最後には2人の子供が生まれる、それでいいじゃねーか。」
「良くないわァァァ!!!!何で急に投げやりになってるんですか!!!」
「正直もう面倒くせーんだよ。」
「本音で喋りすぎだアンタァァ!!!!!いいから!さっさと本編に戻しますよ!!」
「テメッ、先に万事屋に帰ったからっていい気になってんじゃねーぞ!
 こっちは心底めんどくせーことになってんだよ!俺もう邪魔くせーんだよ!」
「はいはい分かりましたよ!じゃあ仕切りなおしますからね!」
「あっ、待てテメッ!」










確かに今、触覚バカは言った。
と一緒に居られるのなら、神楽と和解でも何でもしてやるって。
何コイツ、超恥ずかしい言葉をさらっと言うんですけど。
いや、それよりも何よりも、今の言葉本心なのか?

「言っただろう?俺が今一番興味があるのはだ。
 神楽のことなんてどうでもいいよ。適当にあしらうから。」

今の言葉は傍から見れば暴言なのだろうが、
俺たちはその判断も出来ないほど驚愕していた。
コイツの考えてることが全く理解できない。
今の言葉だって、一体どこまで本気なのか皆目見当もつかない。

しかし、隣で顎が外れそうなくらい
あんぐりと口を開けているオッサンの様子から察するに、
少なくともコイツがここまで他人に執着するのは初めてなんだろう。
もここまで他人に執着されるのは初めてなので、
たった今、時間差で顔を真っ赤に染め上げた。

『バッ、バッカなんじゃないの!?ホントお前って恥ずかしい!!』
「そんなこと言って、本当は死ぬほど嬉しいんだろ?」
『んなわけないでしょ!?バカなのお前!バーカバーカ!!!!』

は動揺しすぎてさっきからバカしか言ってない。
完全にバーサク状態のを、触覚バカはケラケラと笑いながら見ていた。
それは吉原で散々見てきた笑顔ではなく、
の前でだけ見せる心の底からの笑顔だった。

「まぁ……居場所が分かってんなら別にいいんだけどよ……。」

ギャーギャーとじゃれ合っている2人の姿を眺めながら、
隣に居たオッサンがはぁ、と溜息をついた。

「はぁ?オイオイ冗談じゃねーぞ。
 まさかアイツを置いて帰る気じゃねーだろーな。」
「仕方ねぇだろ、あの人がお前んトコに居たいって言ってんだから。
 どうしても嫌だってんなら、お前さんが団長を説得してくれ。」

まぁどうせ無理だろうけどな、と付け加えて、
オッサンはのそのそと触覚バカの方に歩み寄った。

「オイ団長、今日のところは俺は帰るが、
 しばらくしたら絶対に迎えに来るからな。大人しく帰って来いよ。」
『え!?阿伏兎さん帰っちゃうの!?』
「あれ、お前にしては話が早いね。
 心配しなくても、は必ず俺の嫁にしてみせるよ。」
「アンタ俺の話聞いてた?」

そんな会話になっていない会話を繰り広げた後、
オッサンは本当に一人で帰っていってしまった。
その後姿を呆然と眺め続ける俺と。
そしてしばらく経った後、お互いに顔を見合わせて深い深い溜息を吐いた。




迷惑兄さん同居決定

(今日からと同棲かぁ。楽しみだなぁ) (いやいや、同棲じゃないからね?銀時も神楽ちゃんも居るからね?) (、子供は何人欲しい?) (アタシの話聞いてェェ!?) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 次章から万事屋with迷惑兄さん篇開始です! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/11/07 管理人:かほ