皆さんこんにちは。万事屋の知将こと志村新八です。 いきなりですが、今僕が置かれている状況について説明します。 僕はいつものように「おはようございまーす」なんて 軽い挨拶をしながら万事屋に出勤してきたわけなんですが、 万事屋は僕の声なんか聞こえないほど緊迫した雰囲気に包まれていました。 その禍々しいオーラに僕が事務所の入り口で立ち尽くしていると、 ソファーに向かい合って座っている神楽ちゃんのお兄さんを睨みつけながら、 銀さんが「ったくよー、」と頭を抱えて言葉を発した。 「いきなり人の指折る奴があるかぁ?」 「いいじゃないか、に治してもらったんだから。」 「そーゆー問題じゃねぇだろ!!」 『そうだよ神威、銀時に謝りなさい!』 全く反省の色を見せないお兄さんに銀さんが怒鳴りつけると、 銀さんの隣に座っていたさんがお兄さんを諌めるようにそう言った。 「どうして俺が謝らなくちゃいけないんだい?」 『他人を簡単に傷つけちゃいけないの! 夜兎族だからってバンバン他人を怪我させるのは駄目でしょ!?』 さんが真面目な顔でお兄さんにそう言えば、 お兄さんはさんが本気で怒っていると感じ取ったのか、 しばらくさんを見つめた後、渋々銀さんの顔を見て謝罪した。 「悪かったよ。ゴメン銀さん。」 「お、おぉ……分かりゃいいんだよ。」 昨日の騒動の時もそうだったけど、 吉原で会った時とは明らかに性格の違うお兄さんに、 銀さんはちょっと驚いた顔をしていた。 それはお兄さんの隣に座っている神楽ちゃんも同じだったようで、 カッと目を見開いて素直に謝ったお兄さんをガン見していた。 「なんか素直すぎてキモいアル。」 『神楽ちゃん、そういうこと言わないの。素直に謝るのはいいことでしょ?』 神楽ちゃんの発言にさんがそう注意すれば、 神楽ちゃんは「はーい」と素直に返事をしてまた前に向き直った。 やっぱりこの兄妹を止められるのはさんだけだなぁ、と 僕は入り口に立ち尽くしたまま実感した。 「あ、あの……。」 『あっ、そうだ。』 僕がそろそろかな、と思って恐る恐る声を出したら、 さんの声に阻まれてしまい、僕はガクッと肩を落とした。 偶然なんだろうけど、タイミング良すぎですさん……。 『お掃除する前にも言ってたけど、アタシたち今日仕事が入ってるの。 だから神威はここでお留守番しててね。 家のものは壊さなければ自由に使っていいから。』 さんはお兄さんの顔を見ながらそう言った。 仕事とは今日のお昼から入っている社長の護衛のことだろう。 お兄さんが万事屋で留守番するのは別にいいけれど、 この前みたいに帰ってきたら万事屋崩壊みたいなことは勘弁してほしい。 「何言ってるんだよ。俺も一緒に行くからね。」 『えっ?』 「はぁ!?何言ってんだテメー!」 お兄さんの予想外の言葉に、その場に居た全員が驚いた。 「俺も万事屋の仕事ってやつに付いていくよ。 と一緒に居たいのもあるし、純粋に興味もあるしね。」 お兄さんは笑顔で、でもやけに威圧感のある声色でそう言った。 その言葉に神楽ちゃんはどこか嬉しそうな顔をしていたが、 銀さんはまた怒ったようにお兄さんを睨んでいた。 「バカヤロー!誰がテメーなんか連れて行くか!」 「俺が行くって言ってるんだ。銀さんに止める権利は無いよ。」 「いいや、あるね!そんな大人数で行っても邪魔なだけだろーが!」 銀さんの言葉に、お兄さんは相変わらずの笑顔で反論した。 「人数が多いって言うなら誰かを外せばいい。」 「バッカお前、俺はまず万事屋の社長だから絶対に外せねぇだろ? 神楽はバカ力だし、はまさかの時の治療担当!それに新八も……。」 銀さんはそこまで言って、途端に口を紡いだ。え?何?何でそこで詰まるの?
(どうでもいいけどそろそろ誰か気づいてよ……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ いや、別に新ちゃんが嫌いとかそんなんじゃなくて! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2011/03/27 管理人:かほ