『全くもう……みんな新ちゃんのこと虐めすぎ!』 ぷんぷん怒っているさんは順番に全員を睨みつけながらそう言った。 まずは目の前に座っている神楽ちゃんのお兄さん。 さんに睨みつけられても依然ニコニコと笑っていた。 次はお兄さんの隣に座っている神楽ちゃん。 神楽ちゃんはさっき僕にごめんなさい、と謝ってくれたので さんもあまりきつくは睨みつけていなかった。 そして最後にさんは隣に腰掛けている僕の向こう側、 社長イスのところで鼻にティッシュを詰めている銀さんを睨みつけた。 銀さんは僕の新八クラッシャーを受けた後、 さんに頭を掴まれて僕に土下座させられていた。 ちょっと可哀想な気もしたけど、自業自得と言えば自業自得だもんね。 「いや、ホント悪かったって……。 何もそこまで怒らなくてもいいじゃねーか。」 さんにボロボロにされた銀さんは疲れきった顔でそう呟いた。 「って銀さんには厳しいんだね。どうして?」 『え?あぁ、これは愛情の裏返しよ。』 「愛情の……?」 お兄さんの問いかけにさんが答えれば、 その表現方法が気に障ったのか、 お兄さんは急に眉間にしわを寄せてさんを睨みつけた。 「何それ、は銀さんのこと愛してるっていうの?」 『えっ!?あっ、いやっ、そうじゃなくて!』 「じゃあ銀さんがこの世から居なくなればの愛情は俺に向く?」 さんのちょっとした言葉で銀さんに嫉妬してしまったお兄さんは 殺気の籠もった眼でギラッと銀さんを睨みつけた。 それにビビッた銀さんはイスの上で「ひっ!?」と体を小さくし、 さんは慌ててお兄さんを止めにかかった。 『神威ちょっと落ち着いて!!愛情ってそういう意味じゃない!』 「愛情に他の意味なんてないだろ?」 『あるよ!アタシは、銀時も神楽ちゃんも新ちゃんも、 みーんな家族として大好きなの!』 さんが真剣な表情でお兄さんにそう言えば、 お兄さんはしばらくさんを見つめた後、「はぁ、」と小さな溜息をついた。 「分かったよ。もう銀さんには嫉妬しない。 その代わり俺の嫁になってね、。」 『それとコレとは話が別でしょ!』 さんは神楽ちゃんのお兄さんに向かってピシャリとそう言った。 やっぱりこの人はさんには口答えしないんだなぁ。 吉原ではあんなに怖かったお兄さんだけど、 さんと一緒に居る時だけは普通の人って感じがする。 「そう言えば、結局お兄さんは一緒に来るんですか?」 僕が銀さんに向かってそう尋ねれば、 銀さんは眉間にしわを寄せながら「あぁん?」と不服そうな声を出し、 机に頬杖を付きながら溜息混じりにこう言った。 「しゃーねーだろ。そいつ言っても聞かねぇんだから。」 その言葉に、お兄さんと神楽ちゃんとさんが同時に銀さんの方を向いた。 「銀ちゃん!本気でこのバカ兄貴を連れてくつもりアルか!?」 「嫌ならお前がそいつ説得してくれよ。」 『まぁまぁ神楽ちゃん、いいじゃん別に。 今回の護衛は人間相手みたいだし、神威もきっと暴れないから。』 さんが優しく諭すようにそう言えば、 神楽ちゃんは反対するのを止めて少しムッとした表情でお兄さんを見た。 口ではあんなこと言ってるけど、本当は嬉しいんだろうなぁ、神楽ちゃん。 「俺は弱い奴には興味ないからね。に頼まれない限り動かないよ。」 『うん、頼まないから大人しくしててね、お願いだから。』 「でもに危害を及ぼす奴はその場で瞬殺しちゃうから。」 『いや、だから大人しくしててって……。』 笑顔でとんでもない事を言い放ったお兄さんに さんが呆れ顔で言葉を発しようとした時、 急に玄関の方からピンポーンというチャイムの音が鳴り響いてきた。 『あっ、社長さんかな?』 さんはそう言いながら玄関に向かって歩いて行った。 お兄さんはその後姿を目だけで追いかけ、 神楽ちゃんと銀さんは興味なさそうに各々好きなことをし始めた。 『はーい、今開けま……うわぁっ!?』 「……っ??」 玄関の開く音と共に聞こえてきたさんの悲鳴に、 なんとあのお兄さんがいち早く反応してバッとその場で立ち上がった。 すると玄関の方から何十人という黒スーツの人たちが入ってきて、 僕たちは一瞬でその人たちに取り囲まれてしまった。事件の予感
(オイオイ……勘弁してくれよ) (さん、大丈夫なんでしょうか……) (もし大丈夫じゃなかったらコイツ等全員血祭りだよ) (バカ兄貴、むやみやたらと暴れるんじゃないネ) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 次回から新章突入です! ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2011/03/27 管理人:かほ