しょうせつ

俺たちの目の前には今とても素敵な光景が広がっている。
辺り一面、武器を持った奴等だらけだ。
中には天人らしき姿もあって、
そいつ等もやっぱり武器を片手に俺たちを取り囲んでいた。

「オイオイ、勘弁してくれよ……。」

俺はてっきりおっかねぇヤクザフロアを抜ければ
平和な町並みにお目にかかれると思っていたんだが、
どうやらそれはとんだ間違いだったようだ。

「ね、ねぇ銀さん……コレってもしかしてヤバいんじゃないですか?」

顔を引きつらせてそう言う新八に、俺は平静を装って言葉を返した。

「はぁ?お前バカ言うなよ。こりゃアレだよ。出待ちってやつだよ。」
「いや、どう考えてもあの人たち僕たちのファンじゃなさそうなんですけど。」
「銀さんたち気をつけなよ。アイツ等弱いくせにしつこいから。」

神威はいつも通りの笑顔で俺たちにそう声をかけてきた。
その言葉を合図に、敵が一斉に俺たちに襲い掛かってくる。
多勢に無勢とはこの事だと思いながら、
俺はとりあえず自分に襲い掛かってきた奴等を木刀で振り払った。

「ぎっ、銀さんんん!!!!どうすんですかコレェェ!!
 とてもじゃないけど僕たちだけで相手できる人数じゃないですよォォ!!!」

竹刀を片手になんとか自分に降りかかる敵を払いのけた新八が、
敵に竹刀を構えながら俺にそう叫んできた。

「狼狽えるな新八ィ!!全部コイツが相手してくれる!」
「アンタ結局お兄さん任せか!!!!」

俺が神威を指差しながら叫べば、新八はいつも通りのツッコミを返してきた。
なんだコイツ、結構余裕そうじゃん。
これなら俺が加勢しなくても大丈夫そうだな。
そう判断した俺は真っ直ぐ前を見て敵に木刀を構えた。

「銀さん、そんなんじゃアイツ等は殺せないよ?」

俺にそう言った神威は新八を一瞥して「アイツもだけど」と付け加えた。

「あぁん?いいんだよ別に。」
「やっぱり銀さんたちは甘いよ。追っ払えればいいって考え?」

神威はそう言いながら俺に笑顔を向け、
そしてその笑顔を貼り付けたまま周りに居た奴等を全員瞬殺した。
神威の服や足元が敵の血で真っ赤に染まる。

「コイツ等は俺たちに牙を剥いてきた連中だ。
 ここで始末しておかないと、後々面倒だろ?」

神威はまた貼り付けた笑顔で俺たちに振り返った。
新八は吉原の記憶が蘇ったのか、カタカタと小刻みに震えている。
俺は返り血で真っ赤に染まった神威と地面を眺めつつ、
こいつは面倒なことになったなぁと頭を抱えた。
別に俺は敵が死のうが殺されようがどうでもいいのだが、
この惨状を見た時、がどんな行動に出るか……考えただけでも頭が痛い。

「安心しなよ眼鏡。お前はに免じて殺さない。
 だから早く体の震えを止めれば?じゃないと殺されちゃうよ。」

神威はそう言って、また向かって来た敵を血祭りにあげていた。
そして声をかけられた新八はまだ神威を怖がってはいたが、
今は敵に集中することに決めたのか、竹刀で敵をなぎ倒し始めた。
俺は神威の気遣い(?)に若干驚きつつも、
新八と同じように今はコイツ等を倒すことだけを考えることにした。

「かっ、神威団長!?」
「何故貴方が我々の邪魔をするのです!!」

時々そんな声が聞こえてきては、すぐに断末魔に変わった。
どうやら敵の天人たちは神威の存在に驚いているらしい。
まぁそりゃそうか。
自分たちが属する春雨の師団長様が、自分たちに牙を剥いてるんだもんなぁ。
今考えたら、アイツ自分の仲間を殺してるようなもんじゃねーか。

まぁ神威に仲間意識なんてあるわけねぇし、
生粋の夜兎族だから多種の天人を同属とも思ってねぇんだろうが、
それにしてもあんなにも無情に人間や天人を殺せるもんなのかねぇ。
の陰に隠れて見えなかった神威の本性を久々に垣間見て、
俺は所詮アイツも宇宙海賊春雨・血に従順な夜兎族かと思った。




血に染まっていくの髪

(もうちょっとマシな奴かと思ってたんだがなぁ……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 昔黒かった髪(アニメOP参照)が血で橙に染まったのかもしれない運転。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2011/03/30 管理人:かほ