『どうしてこうなった!』 ある日の昼下がり、あたしとと武市先輩の3人で 晋助様の部屋で勝手にくつろいでいたら、急にが深刻な顔をしてそう叫んだ。 あたしも武市先輩も全くの無防備だったので その急なの叫びに思わず体を跳ねさせる。 「い、いきなり何スか……。」 あたしが驚いた顔でそう尋ねると、はキッとあたしの方を見て、 そしてさっきよりもさらに深刻そうな顔をしてこう言った。 『一番最初の“Dangerous Game”ではカッコ良かったじゃないか! なのにどうしてこうなった!!』 「あぁ……万斉さんの話ですか。」 の言葉に武市先輩がそう呟く。 「いいじゃないですか、まだカッコ良かった時期があって。 私なんて原作でも変態キャラなんですからね、 スタート地点から既に不名誉な位置づけなんですからね。」 『武市先輩はいいんですよ、根っからの変態だから!!』 「さん、今私すごく傷つきましたよ。」 ショックを受けた(でも表情は全く変わってない)武市先輩を無視して は妙なハイテンションで話を続けた。 『問題は万斉のキャラ変更っぷりなの! 何で最初に書いた小説がカッコいい系のチョイ悪男なのに、 次書いた小説でいきなりド変態になる!?おかしいだろ!』 「本性が出たんスよ、本性が。」 『いいや!奴はやれば出来る子なんだよ!元はカッコいいはずなんだよ! 人気投票でもギリギリ顔掲載ナシとかいう微妙な順位だったし、 せっかく鬼兵隊のメンバーなのに紅桜篇であんまり出番ないし!』 「さんそれ褒めてるんですかけなしてるんですか。」 「ってか万斉は動乱篇でイイトコ取りしてたッスよ。」 『なので今日は今後の万斉のキャラについてとことん議論しましょう!』 グワシッと握り拳を作ってあさっての方向を見ながらそう意気込んだ。 正直あたしも武市先輩ものノリに付いて行けてなかったけど、 とりあえず謎の拍手だけはしてあげた。盛り上げるために。 するといきなり部屋の扉がバンッと開き、 そこから晋助様(とおまけ一名)が颯爽と部屋の中に入って来た。 「オイてめー等、何勝手に人の部屋でくつろいでんだ。」 「晋助様!」 『晋助に万斉!丁度いいところに!今3人で大事な会議してたの!』 ただ部屋で歩いているだけなのに超絶カッコいい晋助様に、 相変わらずの真剣な顔でがそう言い放った。 そのの無駄なテンションに怪訝な顔をする晋助様。 嫌そうな顔をする晋助様も相当カッコいいッス……!!!!! 「会議、とは?」 「おい万斉、テメーまで乗っかるんじゃねぇよ。」 『ウチで変態キャラが定着しつつある万斉の脱線を食い止めようって会議!』 「そんな下らねぇ話はヨソでしろ。」 『下らなくなんかないよ!重要な会議さコレは!』 が大真面目にそう言うと、晋助様が包み隠さずイラッとした。 その様子を察知した万斉が晋助様の肩に手を置きまぁまぁと宥める。 「別にいいではないか。話を聞くだけでもしてやるでござるよ。」 『やった!ありがと万斉!』 の笑顔に若干照れながらあたし達の輪の中に入ってきた万斉を見て、 晋助様は大きなため息(あぁ、ため息だけでも相当エロいッス……!)をつき、 渋々こっちに歩いてきて武市先輩の隣に腰掛けた。 「で?コイツの暴走をどうやって止めるんだ?」 『それが問題なんだよね。初期はあんなにカッコ良かったのに、 何で最近になってド変態になっちゃったの?って話。』 「んなもん本性が出たんだろ、本性が。」 『うっわさっきのまた子ちゃんと全く同じ台詞吐きやがったコイツ。』 「晋助様と同意見で嬉しいッス!」 流石は赤い糸で結ばれているあたしと晋助様! 考える事も一緒だなんて、コレ長年連れ添った夫婦並みじゃね!? そんなことを考えているとふいに武市先輩が万斉の方を見て話を進めた。 「満場一致ですけど、どうなんですか?万斉さん。」 「それは誤解でござる。拙者はやれば出来る奴でござる。」 『あれ、それさっきアタシが言ったような……。』 「たとえ人気投票で微妙な順位でも、紅桜篇で出番がなくても、 拙者は元々クールなチョイ悪キャラなんでござるよ。」 『ねぇ万斉さっきのアタシ達の会話聞いてた?聞いてたよね? そんで結構傷ついたんだよね?だって全く同じ内容だもの。』 「別にイラッと来たわけではないでござる。」 「思いっきりイラッときてんじゃないッスか。」 『ごめん、そんなに気にしてたなんて知らなかったから……。』 明らかに恨みがこもった万斉の台詞に、が哀れそうな目で奴を見る。 そんな2人の様子をしばらく黙って見ていた晋助様が ふと何かを思いついたようにこう言った。 「要するに、万斉が本来の設定を生かせればいいんだろ?」 『そうだけど……晋助なんかいい考えでもあるの?』 「いや別に。」 『じゃあ何でそんなに偉そうに……。』 全く晋助様ってば、お茶目なんスから! あたしが可愛い晋助様の行動にニヤニヤしていると、 隣に座っていたがあからさまにドン引きしていた。(ちょっとは隠せ) 「……分かったでござる。では、一つ頼み事がある。」 『え?アタシに?何?』 「ここでいきなりパンツくれとか言って変態オチってのは止めるッスよ。」 「そんな事は言わぬ。拙者はを必要としているでござる。」 あたしの言葉に万斉は大真面目な顔でそう答え、 隣に座っていたの両手を取り、ギュッと握った。 その行動にが思わず真っ赤になる。 『えっ……?なっ、ちょ、何……!?』 「……。」 『はひっ!いやっ、ちょっ……顔近い……!』 思いっきり照れるに真剣な顔をして近づく万斉。 そして次の瞬間、万斉の目がキラリと光った。 「拙者の下で歌手デビューするでござるよ。」 『………………は?』 数日後、は寺門通とユニットを組んで 大人気アイドルユニットとしてメジャーデビューをした。どうしてこうなった
(本来のキャラ設定を生かすって……そっち?) (馬鹿なのかコイツ等) (さんも可哀想に……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ コレ鬼兵隊夢なのか万斉夢なのか分かんなくなっちゃった。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2010/05/16 管理人:かほ