今日は第七師団にしては珍しく、久々に任務がない日だった。 夜兎族は戦いが好きで任務してんだからいいとして、 普通(?)の人間の血も入っている私は多忙な日々で疲れていたので、 第七師団の団長室で一日中ゴロゴロしていた。 すると阿伏兎さんも云業も私につられ、 いつの間にか団長室で新聞読んだり花に水をやったりと 各々好きなことをして久々の休日をのんびりと過ごし始めた。 団長だけは初め、第四師団ブッ潰しに行こうよとか言ってきたけど、 私が全力で拒否すると、諦めたのか私の隣でゴロ寝をし始めた。 そしてゆったりした時が流れ、私が部屋に飾ったハト時計が正午を知らせる。 「……、お腹すいた。」 『へ?あぁ、もぅこんな時間か。』 本に熱中していた私は団長の声で初めてお昼になっていたことに気づく。 そして腹ペコ夜兎族の為にお昼ご飯を作るべく、 立ち上がりながら皆に食べたいもののリクエストをとった。 『みんな何食べるー?』 「俺は何でもいいよ。」 『はいはい、言うと思いました。』 「俺も、ちゃんが作るものなら何でも。」 『ありがと云業。云業は好き嫌いなくてホント助かるわ〜。』 「悪かったな、好き嫌いが多くて。」 『あはは、拗ねないで下さいよぅ、阿伏兎さん。』 私が皆に質問すれば、個性豊かな返事が返ってきた。 まぁ基本的に夜兎族は何でもかんでも食べるから、 こうやって何を食べたいとか聞くのは無駄な行為なんだけど、一応ね。 団長に至っては白米とふりかけで一週間くらい大丈夫だから驚きだ。 逆に阿伏兎さんは夜兎族にしては珍しく好き嫌いが多い。 だから第七師団の中で一番食にうるさいのは阿伏兎さんだ。 「じゃあ、俺はこないだ行った星で食べた……。」 『あぁ、コンフィーヌですね。分かりました。』 「おっ。流石だな。覚えてたのか。」 『はい!だって、阿伏兎さんが珍しく美味しいって言って食べてましたから♪』 「ははっ。ちゃんはまるで阿伏兎のお母さんだな。」 「うるせぇ。」 云業が言うと、阿伏兎さんは照れくさそうにそっぽを向いてそう言った。 その反応に私と云業は顔を見合わせて笑い合う。 『じゃ、みんなコンフィーヌでいいよねー? いっぱい作るから、ちょっとだけ待っててねー。』 私がそう言いながら戦場という名の厨房に足を運ぼうとした時、 ふいに団長の姿が目に入った。 『……どしたんですか、団長。』 私は思わず話しかける。 だって、明らかに団長不機嫌でいらっしゃるんだもの。 「……ムカつく。」 『は?』 「何だよいきなり……。」 「な、何がそんなに気に食わなかったんだ?団長。」 「何で俺だけ団長なの?」 「「『はぁ?』」」 団長の言葉に私たちは声を合わせ、一斉に顔を見合わせる。 そしてまた不機嫌そうに三角座りをしている団長の方を見た。 『団長、一体何を……。』 「が2人を呼ぶ時は何て呼ぶ?」 『え……云業と阿伏兎さんですけど?』 「じゃあ2人がを呼ぶ時は?」 「。」 「ちゃん。」 「俺を呼ぶ時は?」 「「『団長。』」」 私たち3人の声が綺麗にハモる。 それに団長の機嫌はさらに悪くなり、 ついには頬を膨らませてプイッとそっぽを向いてしまった。 「ほら、俺だけ名前じゃないじゃないか。」 『いやだって団長は団長だもん。』 「一応ちゃんと呼ばねーと。」 「俺はいつも団長のことを尊敬して呼んでるぞ!」 団長バカの云業がそう熱弁したが、団長の機嫌は直らなかった。 一体何だっていうんだろう。 まさか私と阿伏兎さんが特に何の理由もなく、 ただ上司だからという理由で団長と呼んでいたのが気に入らなかったのだろうか? みんな云業みたいに団長を敬って呼べと? いやいやまさか、団長に限ってそんなベタな話。 「ヤだ。神威って呼んでほしい。」 私がそんなことを考えていると、やっぱり団長の回答は予想外なものだった。 『何をいきなり……。』 「だって俺だけ仲間はずれじゃないか。ズルいよ2人だけ。 、神威って呼んで。団長命令。阿伏兎と云業は別にいい。」 「そ、そんなぁ……。」 「言われなくても呼ばねーよ、気色悪ぃ。」 団長の突然の命令に困惑する私と、ガッカリする云業と、流す阿伏兎さん。 ってか云業、機会があれば神威って呼びたかったのか……。 「さぁ、俺のこと名前で呼んでよ。」 『えぇ?そんなん無理ですよ。今までずっと団長だったんだし。』 「嫌だよそんなの。の意見なんか聞かない。」 この人はどこまで自己中心的なんだろう……。 でも、意外と可愛いところもあるんだ。 自分だけ名前で呼ばれないのが仲間はずれみたいで寂しい、なんて。 一応ちゃんと人間らしいところもあるんだなぁ。 「団長、何でアンタそこまでしてに名前を呼んでほしいんだよ。」 「だってヤる時に団長だとモチベーション上がんないじゃん。」 ……前言撤回。名前で呼ぶのは愛情表現
(、呼べ) (団長、真顔真顔) (ちょっ、怖いんですけど) (団長ぉ……) .。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○.。o○ 阿伏兎が好き嫌い多かったら萌える(*´∀`*)(←そんな話だった?) そして云業が果てしなく報われなくて自分でも驚きです。ゴメンね。 ※誤字、脱字、その他指摘等は拍手かメールにて。 2009/07/09 管理人:かほ